もはやモデルさんでＳＨＯＷ！｜リアクション

もはやモデルさんでＳＨＯＷ！

「な、なにこれぇ！」

　思わずと言った様子で水上桜が大声を上げる。何故、彼女は大声を上げているのか。
　それは少し前に遡る事になる。桜は街中で突然見知らぬ女性にモデルになれと声をかけられ、気付けば怪しさ満載のステージに立たされていた。
　そして、桜の声をかけてきた女性は女悪魔としての正体を現したのだが、彼女がこれ似合うから！　と差し出した衣装を見たらそんな事はどうでも良くなってしまったのだ。
　何故なら、差し出された衣装というのがガーターベルト付きの黒のレースのセクシーランジェリーであったのだから。

　全体的にセクシーさを前面に出した総レースで仕上げている透け感のある黒ランジェリー。
　透け感が強いというだけでなく、そもそもの布の面積が少なくギリギリのラインを攻めているデザインとなっている。
　どれだけギリギリかと言えばバストの上部分の露出が大きく、比較的慎ましやかな桜の胸でさえも零れるのではないかと思える程であったり、ブラの背中側はほぼ紐と言えるような形状となっていたりするのだ。

　はっきり言えば、まだ15歳の高校1年生が着るような物ではない。それこそスタイルの良い外人のモデルさんなんかが着るような物と言える。

「こ、こんなの無理だー！」

　ぶんぶんと頭を横に振って拒否の意思を示す桜。
　桜は水泳部所属である為に普段から人前で水着姿で出る事自体には慣れている。練習では女子しかいないが、試合ともなれば男性の前にも出るのだから当然と言えば当然だ。

　だが、それはあくまでも水泳を行うからであり、そもそもの話、水泳部で着る競泳水着とこの大胆な下着では全く違う。
　その上、セクシーポーズを取らなければならないとなると、それは最早ただの罰ゲームという認識さえ桜にはある。
　しかし、女悪魔は無情にもやらなければ元の場所へと戻る事は出来ないと桜に告げ、桜の近くを鞭で叩く。

「うぅ……。もう、解った！　解りました！」

　幾ら恥ずかしそうに悶え叫ぼうともこの女悪魔が諦める事はない。ステージの下では今か今かと期待に満ちた表情で撮影の準備をしている悪魔達を見れば桜とてそのくらいは理解出来ていた。
　覚悟を決めるしかない。涙と屈辱を呑んで、悪魔の言うがままに撮影会に臨むことにする桜であった。

　過去身に纏った事がないような形状とは言え下着には変わりはない。覚悟を決めた桜は手早く着替えを行いこの一時の間だけグラビアアイドルへと変わる。
　セクシーランジェリーを着て、ステージへと進み出ていけば予想通り。いや、予想以上であったのかカメラを構えた悪魔達のボルテージは一気に上がった。

「え、ポーズだけじゃなくて表情も！？」

　女悪魔から様々な指示が飛んでくるがそれは桜にとって困難極まるものであった。
　大胆としか言いようがないランジェリーを着ているだけでも桜は恥ずかしいのだが、その上にセクシーなポージングまでしなければならない。
　それも布面積が狭いが故に露出している胸やお尻を見せつけるようなポージングに始まり、仰向けの状態で足を持ちあげ股を強調するような過激なものまで。

　指示はポーズに留まらず、更にはセクシーな表情まで要求される事となる。
　15歳である桜にそんな表情を浮かべた経験などはなく、どうやってそんな表情をすれば良いのかさえ解らない。そんなのは無理だと思えたがそれでも桜は自暴自棄気味に最後まで突っ走るのであった。

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