きらきら☆スイーツバイキング～魔法のプリンを添えて！？～｜リアクション

きらきら☆スイーツバイキング～魔法のプリンを添えて！？～

（スイーツバイキングって、どんなものなんだろうか……？）
　自室でスマートフォンを弄りながら、鴻上彰尋は考える。
　前々から気になっていたカフェ――『ネコット』で、期間限定のスイーツバイキングが催されているらしい。
　それを知ったのが、昨日こと。
　すぐに思い浮かんだのは、妹の顔だった。
　彼女は以前から、スイーツバイキングに行ってみたい！　と度々口にしていたから。
（連れて行ってやりたいけど……）
　何せ、彰尋自身が、スイーツバイキングなるものを経験したことがない。
　それに、妹をそこへ連れて行くならば、必然的に、双子の弟も連れて行くことになる。
　よく知らない場所へ、まだ幼さの残る双子を一人で連れて行くのには、抵抗があった。
（兄貴として、責任があるわけだし）
　ぐるぐると思案しながらも、彰尋の指は、スマートフォンを淀みなく操作している。
　インターネットの海からスイーツバイキングとは何たるかを掬い上げようとしているのだが、
（あ、美味しそう。……って、いや、そうじゃなくて！）
　という具合で、全国各地の素敵にきらきらしいスイーツバイキングの情報ばかりが引っかかる。
　これではお腹が空くだけだ、と息を吐いた時、
（もしかして、＂彼女＂だったら……）
　ふっと、ある人の笑顔が脳裏を過ぎった。
　ＮＹＡＩＮ（ニャイン）のアプリを開く。
『突然ごめん。ちょっと相談があるんだけど……』
　メッセージを送れば、間もなくに、
『彰尋くん？　改まってどうしたの？』
　という返事が、はてな、と首を傾げる猫のスタンプのおまけ付きで送られてきた。

※

　テーブルに着いて、彰尋は安堵の息を吐いた。
「良かった……。ルールとか、大体わかったよ。スイーツ以外のメニューもあって、安心した」
　ビュッフェ形式の食事自体は、過去に経験済みの彰尋だ。
　だから、実際に来てみれば、スイーツバイキングの何たるかはすぐにわかったのだけれど、
「あおいさんが付き合ってくれなかったら、まだスマホと格闘してたかも」
　苦笑を漏らせば、目の前の席に座る七夜あおいがふわりと笑んだ。
「ふふ。お役に立てて光栄です。最初のメッセージを受け取った時には、ちょっとびっくりしたけど」
「恥を忍んでのお願いだったから……」
「え？　そうなの？」
「うん。一人で行くのは流石に恥ずかしいから、一緒に行って色々と教えてほしい、なんて……」
　応じて、彰尋は小さく頰を掻いた。
　改めて言葉にすると、やはり、何とも言えず面映ゆい。
　そんな彰尋の様子に、あおいは微笑ましげにくすりとする。
「これで、妹さん達を連れて来られるね、彰尋お兄ちゃん」
「いやその……うん、本当に。ありがとう、あおいさん」
　言って、皿に盛ってきた魚介のトマトクリームパスタを口に運ぶ彰尋。
「あ、美味しい」
　と、自然、声が溢れた。
「ね、ここ、スイーツ以外も美味しいよね」
「うん、すごく。こっちの玉子サンドも、シンプルなのに家で作るのとは違う感じで」
「あ、それ、私も思った！　何が入ってるんだろうね？」
「えっと、これはたぶん……」
　会話を弾ませながら、皿の料理を食べ進める２人。
　じきに、別の皿に盛りつけてきたスイーツ達を味わう段がやってきた。
「ん、スイーツも美味しい。チョコレートとオレンジのケーキ、絶品だな……」
「そっちのブルーベリーのレアチーズケーキも、おすすめだよ！」
　ぐい、と身を乗り出すあおいの様子に、今度は彰尋がくすりとする番。
「う。そんなに笑わなくても……」
「や、ごめん。あおいさんが、あんまり一生懸命だったから、つい」
　言って、コーヒーを喉に流す。仕切り直しだ。
「そういえば、」
　と気を取り直すように彰尋は言った。
「ここの不思議な噂って、聞いたことあるかな？　魔法のプリンの話」
「うん、知ってるよ。何だか、わくわくするよね」
「だね。せっかくだから食べてみたい」
　彰尋がそう零せば、
「じゃあ、一緒に食べようよ」
　と、あおいはかんばせに笑みの花を咲かせて、元気良く立ち上がった。

※

「どんなお願いをしようか」
　彰尋の言葉に、「それは教えられないなぁ」とあおいはふふり、悪戯っ子の顔。
「彰尋くんは？」
「俺は……そうだな、もし叶うなら……」
　そこで、声が途切れる。
　心に最初に浮かんだ願いは、誰かに叶えてもらうものじゃないな、と思ったのだ。
（でも、せめて、）
　――君との思い出の中から、願いを考えてみようか。
　彰尋の口元を、淡く優しい笑みが彩る。
（自分も、あおいさんも。願いが叶いますように）
　祈りを胸に、彰尋はプリンを、そっとひと匙、口に運んだ。

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あとがき

担当マスター：巴めろ
ファンレターはマスターページから！

お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました！

スイーツバイキングな時間、お楽しみいただけましたら、とてもとても嬉しいです。
また今回、ご希望がございましたらお土産として、マカロンのお持ち帰りが可能です。種類は、

・バニラ
・ラズベリー
・ショコラ
・キャラメル
・シトロン
・ピスタチオ
・アプリコット

となっております。ＲＰのお供に、もしよろしければ。

素敵な《願い事》の数々も、確かにお預かりしております。
一ＧＭの力では叶えることが難しいものもあったりで、全てとはいかないかもしれませんが、
出来るだけ多くの《願い事》をシナリオ化させていただければという気持ちでいます。
そちらでも、もしご縁がございましたらよろしくお願いいたします。

重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
この度も、本当にありがとうございました！

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