狂暑｜リアクション

狂暑

○制服でプール！

　御巫時子は、今日も五十嵐尚輝先生に会いに学校にやってきていました。
「日傘をさしても暑いです……先生が熱中症になってたらと思うと心配です」
　プールの近くを通りかかると、いつもは賑やかな水音や声が聞こえてくるのに静かでした。
「誰もいないようですね。今日はお休みなんでしょうか」

　校舎に足を踏み入れると、熱気が漂ってきました。
（休み中はエアコンが効いてないんですね）
　理科室の戸を開けると、ぬるい空気が流れ出してきました。
「こんにちは尚輝先生、暑くないですか？」　
（少しぼーっとしてきました。私が熱中症になってしまったんでしょうか？）
　時子は室内に声をかけました。
「こんにちは……暑いですね。御巫さん、大丈夫ですか」　
　尚輝先生は実験の片付けをしていました。
「ええ……ちょっとぼーっとしてますけど、気持ち悪さはないですね。涼しくなるにはどうしたらいいんでしょうか？」
　時子の問いに、
「そうですね、水でも浴びますか。それとも冷凍庫に入りますか」
　そんなことを言いながら、尚輝先生は手を洗っています。
　手を洗う音を聞きながら、時子はさっき見たプールを思い出しました。
「尚輝先生、すぐに涼しくなる場所に行きましょう」
「えっ？」
「今日はプールは誰もいないみたいです」
　時子は尚輝先生の手を掴んで引っ張りました。
「ほんとに行くんですか」
　そう言いつつ、尚輝先生はついてきてくれました。

　どういうわけか、プールの戸は開いていました。
　二人は靴と靴下を脱ぎ、裸足でプールサイドに立ちました。
「水着は持ってきていないですが」
「私もです。だから、このまま」　
　時子は、先生に手を差し出しました。
「尚輝先生も一緒に」
「……」
　先生は無言で白衣を脱ぎました。
　そして、時子の手を取りました。
「先生、行きますよ」
　時子はそのままプールに飛び込み、引っ張られるように尚輝先生が続きました。
　ドボーン！
「涼しいですね。気持ちが良くて清々しいです」
　制服姿のままの時子が言います。
　少し泳ごうとしましたが、服が重くてあまり進みません。
　パシャッ！
　もっと涼しくなって欲しくて、時子は尚輝先生に水をかけました。
「御巫さん？」
　驚いた様子の先生に、時子は嬉しそうに笑いかけます。
「涼しくなりましたか？」
「ええ」
　そう言うと、尚輝先生は時子にも水をかけてきました。
　時子はそのまま水に潜ります。
　暑さのせいで悪戯心が湧いてきたようです。
「御巫さん？」
　きょろきょろしている尚輝先生の足元に近づき、いきなり浮上しました。
　バシャッ！
「びっくりしましたか？」
「魚雷のようですね」
　先生も楽しそうでした。

「制服、大丈夫なんですか」
「この暑さならすぐに乾きそうです。気にせず楽しみましょう」　
　少し疲れた時子は、仰向けにプールに浮かんで休憩しました。
「御巫さんがこんなことをするとは意外でした」
「制服でプールって、青春ですね」
　暑さに感謝しながら、時子はつぶやいたのでした。　　
　

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あとがき

担当マスター：茄子りんこ
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ご参加ありがとうございました。
皆様のアクション、楽しませていただきました。
真夏に執筆してたら暑さが増して死にそうになったかもしれませんが、リアルタイムがずれていて助かりました。

サブタイトルの○と●は、安心して読める内容とちょっとギリギリなラインとの区別でつけてみました。
暑さのせいですので、後で問題になったりはしないはずです、たぶん。

それでは、またご縁がありましたらよろしくお願いします。

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