【花火大会】夏の夜花に何を見る｜リアクション

【花火大会】夏の夜花に何を見る

○普通の？人々

　基本的に普通の高校生、佐藤英二は花火見物に繰出していた。
　桜花寮から海岸へ向かっていると、
「お祭りだ―！」
（あの声は？）
　聞きなれた声に振り向けば、そこには１年生の時のクラスメートだった気になる女の子。
　元気いっぱいモードな野々ののこがいた。
　それだけでも嬉しいが、しかもめったに見られない浴衣姿である。
　こっちに気づいて明るい笑顔を向けてくれている。
　ちょっとドキドキししながら、英二は声をかけてみた。
「野々さんこんばんは。良かったら、しばらく一緒に花火を見ない？」
「うん、いいよ」
　即答だった。
　その笑顔だけで、誘って良かったなと思いながら英二は言う。
「それじゃまずは」
「食べ物を買いに行こう！」
　ののこの声がかぶって。
　二人の意見が一致した。
「急ごう、英二くん！」
「ま、待って野々さん」
　浴衣なのに元気に走り回るののこを、慌てて英二は追いかけた。

　屋台どおりに出向いて、食べ物を物色する。
「野々さん、何がいい？」
「うーん、迷うなあ。それじゃあ、焼きそば！」
「僕もそれにしようかな。飲み物も欲しいよね」
「んー、それじゃメロンソーダ買おうかな！」
「僕は烏龍茶にしよう」
　二人で焼きそばを買った後も、甘いものを物色する。
「どうしよう、あんず飴も綿あめもチョコバナナも食べたい！」
「さすがにそれ全部一度には持ちきれないよ。僕は今川焼きにしよう」
「えー、どーれーにーしーようかな～天の神様の～♪」
　神さまなのに神さま頼みのののこである。

　どうにかののこもあんず飴に決めて、食べ物と飲み物を手に、二人は海岸へ向かう。
「学食のプレミアムかき氷パフェも良かったけど、こういうお祭りの場で食べるスィーツも捨てがたいよね。あっ、値段がちょっと高くなりがちなのは気にしない方向で」
　英二の言葉にののこが無邪気に同意する。
「だよねー、スイーツは別腹！　お財布ももう一つあればいいのにね」
「そうだね」
　明日からまたバイト頑張ろう、と思う英二だった。
　