【花火大会】夏の夜花に何を見る｜リアクション

【花火大会】夏の夜花に何を見る

○うどんを食べる人々　　　

　数日前から、八神修は七夜あおいを花火大会に誘いたいと思っていた。
（学内でも話題になってるし誘うハードルも一寸低い）
　友達以上、だと思っている。
　あおいの気持を第一にしたいが、誘っても嫌がられはしないだろう。
　なのに、なかなかあおいは捕まらなかった。
　仕方なく、会場で会えることを祈って支度をすることにした。
（浴衣で行くか、普通の服で行くか……あおいが浴衣なら合わせたいが）
　浴衣姿のあおいが目に浮かび、結局浴衣を着ることにした。
「楽しみだな。お腹をすかせていこう」
　小銭や千円札をしっかり持って、修は花火大会へ向かった。
　はたして。
（予想通りだ）
「あおい！」
　こちらへ歩いてきたあおいに声をかける。
「修くん！　こんばんは、偶然だね」
「こんばんは。会えてよかった。一緒に行こう」
（誘わなくてもちゃんと会えた）
　あおいの浴衣姿を見ながら、修は笑みを抑えようと努めていた。
「そうだね、行こうか。修くんご飯は？」
「まだなんだ。まずは屋台で腹ごしらえしようか」

　星ヶ丘駅からシーサイドタウン駅間に屋台がずらりと並んでいた。
「わくわくするね。どの店にしようか迷っちゃう。修くんはどこがいい？」
「それじゃ、適当に回ってみようか。うどんなんかどうかな？」
　『またたぎ亭』の幟を見つけ、修は言った。
「冷やしうどん？　美味しそうだね」
　あおいも瞳を輝かせる。
　目を見交わして、二人はまたたぎ亭を訪れた。
「いらっしゃいませ」
　真魚が声をかける。
　ミステリ研に所属する修と真魚は面識があった。
「こんばんは。お勧めは何かな？」
「シンプルな冷やし釜玉うどんと、衣サクサクの鶏天のセットがお勧めだね。汁気も少なくて食べやすいからテイクアウトしてお祭り楽しみながら食べ歩きも可能……一応こっちで座れるスペース用意してるから、そちらを利用してもいいけどね」　
「冷やし釜玉うどんに鶏天か」
　考える修。あおいが嬉しそうに言う。
「両方食べてみたいかも」
「それじゃ、そのセットを二つ。ここで食べさせてもらうよ」
「冷し釜玉うどん&鶏天2つね」　
　商品を受け取りテーブルについて、うどんをすする。
「うん、美味い」
「ほんと！　この鶏天もサクサクしてすごく美味しい」
　二人は冷やしうどんと鶏天を楽しんだ。

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