【花火大会】夏の夜花に何を見る｜リアクション

【花火大会】夏の夜花に何を見る

☆桜の花火、逆花火？

　朝衣は先生や友人たちと大会の会場へ到着した。
「あれ、ここ空いてるね」
「いい場所じゃない？」
　偶然比較的いい場所をゲットできた朝衣たちは、ワクワクしながら花火が打ちあがるのを待つ。
　ドーン！
「始まった！」　
「綺麗……」
　皆で綺麗な花火を満喫していたが、朝衣だけの目に映ったものがあった。
　夜空に満開の桜が散る幻。
（あれ、なんだか……）
　普段そんなタイプではないのに、急にロマンティックな気分に満たされた。
「炎は花の如く咲き誇り、水の如く光の飛沫舞い散らせる……一瞬の夢よ、この胸に永遠に留まらんことを」

　詩人のような言葉が口をついて出た。
　友人たちがぽかん、と朝衣を見た。
「どうしちゃったの、朝衣？　作詞に目覚めた？」
「もしかして恋してるとか？」
「素敵ね。朝衣さん、作詞の才能があるわね」
　感心した様子の友達や弥生先生の言葉に、嬉しくなる。
　もっと気の利いたことを言って感心してもらいたい、と思ったけど。
　ドーン。
　次の花火が上がった時には、詩的な気分はすっかり消えてしまっていたのだった。

　ドーン！
　大音響で咲く鮮やかな大輪の花。
　それを見上げて、英二とののこは迫力や華麗さに感嘆する。
「すごい！」
　目を輝かせるののこに、英二も言う。
「打上げ花火、近くで見ると本当凄い迫力だよね！」
「うんすごいすごい！　たまやー！」
　ドドーン！
「こんなにたくさんの花火を見る機会ってあんまり無いから見物に来て本当に良かった気がするね」
　ごく普通に花火を楽しみながら、ふと英二は思いだした。
（そういえば野々さんって空から落ちて来たんだよなあ……逆花火？）
　空では花火はどう見えるのか知らないが。
　楽しそうにはしゃいでいるののこを見ると、落ちてきて出会えてよかったなあと思う。
　