【花火大会】夏の夜花に何を見る｜リアクション

【花火大会】夏の夜花に何を見る

○同窓会の人々

「お待たせ。久しぶりー！」　
　懐かしい笑顔が並んでいる。
　浴衣女子が勢ぞろいなのでそこだけぱっと華やかだ。
　寝子島町役場勤務の公務員、三折部朝衣は、寝子高時代の友人たちと合流した。
　夏休みなので島にいる子たちだけでなく、本土へ進学したり就職した子たちとも久しぶりに再会できて、ちょっとした同窓会気分だ。
「朝衣、浴衣似合うじゃん！」
　サーファーガールらしく健康的に日焼けした肢体に纏うのは、赤地に牡丹と百合の浴衣。
「そう？　肌が白くないと似合わないかなと思ったけど、浴衣なんて中学の時以来だからちょっと頑張ってみた」
「すごくいいよ！」
　普段はＴシャツとかタンクトップを着ることの方が多いし、たまには……と思う。
「あ、樋口先生じゃない？」
　誰かが声を上げ、そちらを見ると、高校の担任だった樋口弥生先生がいた。
「浴衣美女の集団がいるなと思ったらみんなだったのね。お久しぶり。元気だった？」
「先生お久しぶりー！」
「先生も一緒に行きましょう！」
　と皆がはしゃぐはしゃぐ。
「そうね、ちょっとお邪魔しようかしら」
先生の言葉に歓声が上がる。
　朝衣はお花見イベントで前にも先生と再会しているので、友人たちを静かに見ていたが。　
「見てくださいよ、朝衣の浴衣姿とかレアでしょ？」
　友人が話を振り、樋口先生が朝衣のほうを見た。
　朝衣の浴衣姿にちょっと驚いた様子だったけど、こちらに笑いかけて、
「三折部さん、よく似合うわ」
　と言ってくれた。
「ありがとうございます」
　ちょっと照れてしまう。

（先生はおひとり様でのんびりと花火大会を楽しむはずだったろうに、ちょっと申し訳ないことしちゃったかな）
　と思いつつ、朝衣は先生や皆と屋台巡りを楽しんだ。
「何買う～？」
　友達に聞かれて、
「それじゃ、アメリカンドッグと、かき氷もいいかな」
「朝衣、町役場なんでしょ？　仕事ってどう？」
「そうね、町おこしイベントの準備に駆りだされたりしてる。総務課だから書類仕事のはずだったのに……」
　アメリカンドッグとか食べながら、ここ最近の近況とかを話したりするのだった。