【星幽塔】第六階層　ウィッチパーティーへようこそ｜リアクション

【星幽塔】第六階層　ウィッチパーティーへようこそ

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　お菓子をさくさく美味しく食べていた曖浜瑠樹が、マーブル模様のクッキーを食べたその時。
　その身体が、ぽんと白い煙に包まれた。
　何が起きたんだろう、ときょとんとする瑠樹。
　お茶の水面に映る自分の髪が白くなっていることに気付いたのは、すぐのことだった。
「……あれぇ？」
「瑠樹くんの髪が……白くなっちゃった！」
　こてんと首をかしげる瑠樹と、目をぱちくりさせる日和。
　「それはですね」と微笑むフローレンスが、さっきのお菓子――メタモルクッキーについて説明してくれた。
　時間が経てばもとに戻るから、心配はしなくていいらしい。
「不思議なクッキーだねぇ」
「私も食べてみよっと！」
　メタモルクッキーに手を伸ばす日和。一口かじって、「美味しい！」と顔をほころばせたところで、身体が煙に包まれる。
「日和お姉さん、オレと逆だねぇ？」
「瑠樹くんと逆？」
　ささっと使い魔が差し出した鏡を見ると、髪が黒く染まっていた。
　わっ、と日和の声がはずんで、ウェーブヘアがやわらかく揺れる。
　前に流した髪とフローレンスのそれとを交互に見やって、笑顔が弾けた。
「フローレンスさんとお揃いの黒髪だ！　ほら、見てください！」
「あら……本当にお揃いですね」
　まじまじと日和の黒髪を見つめて、半分呆けたような、驚いたような呟きをフローレンスは漏らす。
　黒髪といっても、実際の色味にはそれなりに幅がある。
　けれど変化した日和の髪の色は、黒の中でもフローレンスのソレとお揃いの黒だった。
「いつもと違う髪の色って、体験したことがなかったから新鮮」
　手櫛で髪を撫でつけながら、鏡で髪色の変わった自分の姿を何度か見返す。
　それから向き直って、
「私、似合ってますか？」
「ええ、とても」
　フローレンスが瞳を輝かせて頷くと、日和はくすぐったそうに笑みをこぼす。
「この髪の色だと、着るお洋服とかも変わってきそうだなぁ。フローレンスさんは、いつもどういう風に選んでるんですか？」
　何の気なしの問いかけ。けれどフローレンスは、帽子のつばをぎゅっと下げてうつむいてしまった。
「あ、あれ？　フローレンスさん？」
　ややあって、うわずった細い声で彼女は告白する。
「じ、実は……そういうの、あまりわからなくて……」
「えええ、そうなんですか！？　もったいないですよ！」
　思わず、椅子から身を乗り出す格好になってしまう日和であった。
　そこへ、カップ片手にテーブルを巡っていた月詠がやってくる。
「黒髪だとパステルカラーが引き立つし、とろみのある生地だと柔らかい印象が出る。あと、今日のフローレンスみたいに透け感のあるものも相性がいいよ」
　再び、若干の間。
「――ですってフローレンスさん！　これからは今日みたいに、せっかくの黒髪を活かしたお洋服選びをしましょうよ！」
「が、がんばって……みますね」
　自信が全くないのか、答えた声はちょっぴり震えていた。

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