夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪｜リアクション

夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪

☆お泊り会の夜は更けて

　瀬莉は友達と『くじ引きジュース』を試していた。
　二種類の紙を引いて、書かれているジュースをミックスするのだ。
「えーと『辛子明太子』に『ゴーヤ』？！　罰ゲームじゃない……」
（まずい薬、よく飲まされたっけ……）
　そんなことを思いながら瀬莉は、出されたジュースを後先考えずぐっとあおった。
　友達が歓声を上げる。
　飲み下した瀬莉はげんなりしながら言った。
「……ものすごい味」
（変に甘くないだけマシか）　
　幼い頃飲まされた薬は変に甘い味がついていたが、決しておいしくはなかった。
「口直しに甘いもの食べよう！」
　瀬莉はパフェ風スイーツを食べ、どうにか味覚を回復させた。
「んー、働いた後の甘いものはうまいッス！」
　模擬店では桐子もパフェ風スイーツを楽しんでいた。
「よーし、次行くッス！」

「次はお絵かきせんべい！」
　大きなエビせんべいに、シロップで絵を描き、色砂糖を順番にかけていく。
　瀬莉が描いたのは大好きな時計の絵だった。
　楽しくお絵かきしているうちにジュースの味も忘れてしまった。
「お嬢ちゃんたち、的当てはどうだい？」
　サンマさんの誘いに乗って、銃に弾を込める。
「あの猫のシャーペンがいいな」
　小さな箱なのでなかなか当てるのが難しい。
　一回目、二回目とはずして、ついに三回目。
　パン！
「当たった！」　
「おめでとう！　大当りだぜ～」
　サンマさんに猫のシャープペンを渡され、瀬莉はすっかり不安を忘れていた。

　　
　楽しい模擬店の時間も終わり、琳子はしばらく片付けに追われていた。
「好きなの作っていいよ」
　と言われて残ったくじ引きジュースをもらう役得もあった。
　少し休憩すると、もう子供たちの就寝時間だ。
「見回りに行ってきます」
　就寝時間になったとはいえ、まだまだ子供たちは元気だ。
　こっそり抜け出して、夜の学校で肝試しとかする子もいる。
　何を隠そう、琳子も小学生の時に「肝試し」に参加したことがある。
（夜の学校は、それだけで怖かったっけ）
　あの時の怖さは今でも覚えている。
（というか、大きくなってもけっこう怖いかも）
　そんな思いを振り払い、しっかり見回りする。
　足音を聞きつけ、角を曲がると。
「……何してるの！」
　案の定、暗い廊下で肝試ししている子たちを発見した。
「あ、お姉ちゃん……」
　その中に妹がいた。
　やれやれ、と琳子はため息をついて一言。
「明日は早いんだから、もう寝なさい」
　と言い渡したのだった。
　
　
　裏方は大変だけど、子供たちにとっては何より楽しいお泊り会。
　それぞれに忘れられない思い出となったことだろう。

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