夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪｜リアクション

夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪

☆模擬店にて

「にゃッポでお買物だよぉ！」
　はしゃぐ瑠樹は、お店が書かれた紙を広げて悩む。
「お店は沢山あるけどにゃッポに限りがあるから、どのお店で使うか考えないとかなぁ？」
　あたりを見回した瑠樹は、桃井かんなの姿を見つけた。
「あっ、桃井さんだ」
　どうやらお化け屋敷から出てきたところらしい。

　お化け屋敷から出ると、かんなは一心の手を離した。
「ぜ、全然怖くなかったわね」
　けれどかんなの額を汗が伝っている。
　ほっと一息つく一心だったが、まだまだ楽しみは続く。
（模擬店ならお化け屋敷と違って怖い思いをしないで楽しめるはずっす）
　そう思い、声をかけようとしたところへ、瑠樹が走ってきた。
「桃井さん、一緒に模擬店行かない？」
　それから、一心の存在に気づいてにっこり笑う。
「お友達が一緒だったんだね。オレも一緒についてってもいいかなぁ？」
「……べつにいいけど」
　クールに言うかんな。
「も、もちろん問題ないっす」
（下級生っすね……桃井さんと親しいっすか？）
　気になりつつそんなことは聞けない一心。
「桃井さんは何がほしいのかなぁ？」　
　そんな一心の気持ちには気づかず、瑠樹はのんびり尋ねた。
（桃井さんかお友達が欲しいものを２つ買って、半分あげたいなぁ。半分に分けられないものなら……どうしようかなぁ）
　そんなことを考えていたのだが。
「べつに……」
　興味ない、という顔でかんなは言う。

　ふと目の前の店を見た瑠樹が声を上げた。
「あ、消しゴムだぁ！　いろいろあるなぁー！」
「いらっしゃい。この消しゴム、香りつきなのよ」
　カレーの配膳の後、模擬店で売り子をしていた琳子が言った。
「へえ……」
　瑠樹はさっそくキャンディの形の消しゴムをとって匂いを嗅ぐ。
　かんなも花の形の消しゴムを手に取って、鼻に近づけた。
　遅れて一心も適当に花の形の消しゴムを嗅いでみる。
「ほんとだ、いいにおいがするねぇ！　オレ、みんなの分も買うから分けようよぉ」
　瑠樹がにゃッポを取り出しながら言うが、かんなはそっけなく言った。
「……いいよ、自分で買うから」
「下級生に買ってもらうわけにはいかないっす！　買うなら俺がみんなの分を……」
　一心も意気込むが。
「……だから、いいって。みんなで好きなもの買えば」
　そう言いつつ、かんなはにゃッポを取り出し花の消しゴムを買う。
「そうかぁ、じゃあオレはお菓子の消しゴムを買うよぉ」
　気にした様子もなく瑠樹が言う。
「それじゃ、俺も……」
　一心は少し迷ってお菓子型の消しゴムを買った。
（桃井さんとおそろいにしたいけど、さすがに花の形の消しゴムは恥ずかしいっす）
　それでも、気持ちの上ではおそろいだ。

　

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