夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪｜リアクション

夏のお泊り会、ゲストもいるよ♪

☆的当て

　まだにゃッポに余裕がある。
「あっ、サンマさんだぁー！」
「さあ的当てだ、弾は一回三発だぜ～」
　客引きをしているサンマさんに瑠樹が駆け寄る。
「的当てがあるっす、桃井さんが欲しいものあるっすか？」
「的当て？　いいねぇ、面白そう……」
　一心が言い、瑠樹も目を輝かす。
「可愛いぬいぐるみがあるよ、狙ってみたいねぇ」
「あ、リコーダー入れの猫に似てるかも」　
　かんなの持っているリコーダー入れは茶色い猫タイプで、そう言われれば似ているかもしれない。
「でも当たらなかったら何ももらえないし、やめとく」
　クールに言うかんなだが、一心がやる気を見せる。
「よし、俺が挑戦するっす！」
（正直こういうのは苦手っすが、男は度胸！　なんでも試してみるもんっす！）
　そう言った一心をかんなはちらりと見た。　
「それじゃ、やってみたら」
「やるっす！」
（もし手に入れたら桃井さんが笑った顔を見られるかもしれないっす。そう思えばやる価値あるっす！）
　そう思いながら一心は慣れない手つきで銃に弾をこめる。
　
　狙いをつけようとするが、弾がどう飛ぶかわからないので狙いづらい。
（度胸っす！）　
　思い切って引き金を引くが、弾はとんでもないところへ飛んで行った。
「……今のは練習っす」
　かんなが呆れているのではないかと、とても顔は見れない。
（撃つとき手が動いたから狙いがはずれたっす、今度は動かさないように）
　銃を両手でしっかりと持ち、狙ってみる。
　外れたが、今度はさっきよりは近くへ飛んだ。
（今度こそ）
　剣の修行と同じくらい真剣に、一心は狙いをつけた。
　パン！
「当たったっす！」
「おめでとう、猫のぬいぐるみだぜ～」
　サンマさんが景品を渡してくれた。
「やるじゃん」
　微笑んだかんなに、一心はぬいぐるみを渡す。
「桃井さん、どうぞっす！」
「くれるの？　私はべつにほしいわけじゃないけど……」
「……よかったら、もらってほしいっす！」
「……ありがと」
　二人がぬいぐるみを挟んで語らっている間に、瑠樹は弾をこめていた。
「よーし、次はオレだよぉー」
　狙いは白猫のぬいぐるみだ。
　弾はぬいぐるみをかすめたが、倒れなかった。
「あちゃー、むずかしいねぇ」
（にゃッポに限りがあるから、できても２回だねぇ）
　そう思いながら、祈るように２発目を放つ。
「えーい、当たれー！」
　パン！
「やったぁ！」
「おめでとうだぜ～」
　白い猫のぬいぐるみを手に、瑠樹は満面の笑顔を見せた。
　
　

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