ねっ、寝坊したァーーーーーー！！｜リアクション

ねっ、寝坊したァーーーーーー！！

　小山内海は薄暗いまどろみの中にいた。
（ん……今何時……？）
　薄目を開き、ぼーっと眠たい頭で時計を確認する。
（まだ朝の５時……全然眠ってられるね……）
　ほっとして、もう一度目を閉じる。意識はすぐに夢の中へ逆戻り。
　しかしこの時、海は気づいていなかった。
　時計の電池が切れていたことに。

　燦燦とした日差しが頬に当たり、降り注いでいる。
　とても爽快な気分だった。大きく伸びをしたらいつも以上に気持ちがいい。
（んー、よく寝たなー。えっと、今何時かな？）
　時計を見て……目が点になる。
（………５時のまま？）
　一体どういうことなのか、状況を理解するのに要した時間、約１０秒。
（わ、わ、もしかして時計……止まってる？　え、じゃぁ今は……）
　携帯の時計を確認すると、なんということだろう、すでに１１時半ではないか！
（……遅刻どころの騒ぎじゃないよ……）
　同室の子もいるのだが、きちんと畳まれた布団しか残っていない。
　先に出たのだろう。
（起こしてくれれば……って気づかなかったのかな。いつもは私の方が速いし）
　海は布団の中で頭を抱えた。
（うあー……どうしよう。今から学校に行ってもつく頃にはもう昼休みだよね）
　うーん、と悩むこと、また１０秒。
（もうこんな時間なんだし今日はもう休んじゃおうかな）
　休むと決意してみれば、それはとってもよい考えのように思えてくる。
（うん、そうしよう。学校には今更だけど体調が悪くてってメールで連絡してっと）
　送信ボタンを押して、よし、と一息。
（んー、でもこの後どうしようかな。一応体調悪いってことにしたからで歩くわけにもいかないし）
　何かすることはないかと室内を見渡す。
　はじめに目に留めたのは、机の上のスケッチブック。
（絵は特に書きたいものが思いつかないしなぁ……）
　視線は自然とスライドし、スケッチブックの隣に置いてあった一冊の本へ。
（あ、そういえば読みかけの小説があったっけ。よし、今日はそれを読もう。ご飯は……そういえばこの前買ったクッキーまだ開けてなかったし夜まではそれでいいかな）
　海はいったん布団から出ると、机から小説を持ってきて布団にもぐりなおす。
　布団はぬくぬく。
　小説の栞に指をかけページを開く。
　ほかの並行世界には今ごろ勉強に勤しんでいる自分もいたかも、なんて想像をしてみる。
　こっちでいい。
　至福の気分だ。
　読みかけだった行を探し、物語の海にダイブ。
（今日はのんびりするぞー）

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