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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
にゃんこ化する日
●
深倉 理紗子は焦っていた。
今目の前で起こっている現実が受け入れられない。
（猫、ですよね、これは……）
宿直室の布団の上で丸くなりながら、理紗子はふるふると震える。
不安で不安で仕方ない。
昨日の夜までは、ちゃんと人間だったはず。
はず、というのは、昨日は激務だったせい。
勤務医の宿命たる、連続３６時間勤務の日は正直、疲れ切っている。
幸いにして、当院の患者さん達には何一つ異変がなく、急患もなかった。
ほっとして、宿直室に布団を敷いて、横になった。
そして朝になったのが今なはずなのに、どうして猫になっているのか。
見える範囲で身体を見まわして、三毛猫になってしまったということはわかる。
わかるけれど、ありえない。
そしてもっとあり得ないのは――。
「にぅ……」
布団の上に、理紗子が寝ていること。
猫になった理紗子ではなく、人間の理紗子が寝ているのだ。
じゃあここにいる私は、一体何？
ただでさえ連続勤務で疲れ切っている思考回路が、もう焼き切れる寸前だ。
震えることしかできない理紗子の横で、今まで布団で寝ていた人間の理紗子が、ふいに目を覚ました。
「にゃーう？ にゃぁ？」
小首をかしげながら、鳴き声を上げる人間の理紗子。
その様子を見ていた三毛猫の理紗子は、まさか、と後ずさる。
（まさか……私は、猫と中身が入れ替わった？）
右手で猫のように顔を撫でて洗う仕草をする人間の理紗子を見ていると、そうとしか思えない。
でも入れ替わったことが事実だとして、どうしたら元に戻るのか。
猫っぽい仕草を繰り返す人間の理紗子を、ただただ呆然と見続けるしかできない。
「深倉先生？」
コンコンと宿直室のドアをノックする音と、理紗子を呼ぶ声がする。
あの声は、受付の看護師の子だ。
壁に掛けられた時計を見ると、とうに起きていなければいけない時間だった。
「深倉先生、起きていらっしゃいますか？」
先ほどよりも大きめなノックの音と、心配げな声。
人間の理紗子が、ふにゃっと立ち上がる。
（えぇ、待ってください。まさかその格好でドアを開けたりしませんよね？）
寝る時に着替えた部屋着のままなのだ。
さすがにパジャマではないものの、髪は寝癖がついているし、顔だってまだ洗っていない。
人前に出ていい姿じゃない。
その前に中身が人じゃない。
必死に人間の理紗子の足にまとわりついて止めようとするも、駄目だった。
「にゃぅ、にゃーう？」
「深倉先生？ 猫でもいるんですか？」
かちゃりとドアが外から開けられた。
瞬間、ぎゅうっと看護師に抱き着く人間の理紗子。
「えぇっ、先生、どうされたんですか？ えっ、待ってください、顔を舐めないでください？！」
ちょっとちょっと、やめてええええええ？！
人間の理紗子の足元で猫の理紗子が叫ぶけれど、当然、その言葉は「にゃにゃにゃーにゃっ」
看護師も本当の理紗子に気づいてくれず、人間の理紗子は看護師にすりすりぺろぺろ止まらない。
「だ、誰か来てくださいっ、深倉先生が、寝ぼけて……いいえっ、激務過ぎておかしくなってしまわれましたっ！」
叫ぶ看護師の声に、何事かとほかの先生達が集まってくる。
（違うの、違うんです、私はおかしくなってないってばー！）
必死に叫ぶ声は、すべて猫の声。
「あら、猫ちゃん、どこから入ってきたの？ ここはちょっと危ないから、こっちにいきましょうか」
同僚が猫の理紗子に気づいて抱き上げる。
その危ないからの危ないは、人間の理紗子の奇行のことを言っているのか。
（誰か、私を止めて～～～～～～～っ）
涙目で同僚に抱っこされながら、理紗子は必死に人間の理紗子に訴える。
――数時間後。
元に戻れた理紗子は同僚に強引に自販機のそばのベンチに座らされた。
「まぁ、ほらさ。あんたも疲れてたんだよ。ほら、ジュースでもおごってあげるから元気出しなさいな」
「ううっ、ありがとうございます……。でもほんとに、あれは、私じゃないんです。私でしたけれど私じゃないんです……っ」
「まだまだ疲れが取れてないようだね。あんたはさ、仕事ができるけど真面目過ぎるのよ。人の痛みはよくわかるのに、自分の疲れには鈍感なんじゃない？」
同僚が、理紗子にジュースを差し出す。
（私、そんなに疲れてたのかな……夢、だったのかなぁ……。いっそ、みんなも夢って事で忘れてくれたらいいのに）
元気だしなよと肩をポンポンと叩かれると、なんだかちょっと泣いてしまいそうだ。
「まぁ、無理しすぎなさんな。ね？」
優しい同僚達に囲まれているけれど。
今日の失態だけは、当分、凹んでしまいそうだった。
深倉 理紗子は焦っていた。
今目の前で起こっている現実が受け入れられない。
（猫、ですよね、これは……）
宿直室の布団の上で丸くなりながら、理紗子はふるふると震える。
不安で不安で仕方ない。
昨日の夜までは、ちゃんと人間だったはず。
はず、というのは、昨日は激務だったせい。
勤務医の宿命たる、連続３６時間勤務の日は正直、疲れ切っている。
幸いにして、当院の患者さん達には何一つ異変がなく、急患もなかった。
ほっとして、宿直室に布団を敷いて、横になった。
そして朝になったのが今なはずなのに、どうして猫になっているのか。
見える範囲で身体を見まわして、三毛猫になってしまったということはわかる。
わかるけれど、ありえない。
そしてもっとあり得ないのは――。
「にぅ……」
布団の上に、理紗子が寝ていること。
猫になった理紗子ではなく、人間の理紗子が寝ているのだ。
じゃあここにいる私は、一体何？
ただでさえ連続勤務で疲れ切っている思考回路が、もう焼き切れる寸前だ。
震えることしかできない理紗子の横で、今まで布団で寝ていた人間の理紗子が、ふいに目を覚ました。
「にゃーう？ にゃぁ？」
小首をかしげながら、鳴き声を上げる人間の理紗子。
その様子を見ていた三毛猫の理紗子は、まさか、と後ずさる。
（まさか……私は、猫と中身が入れ替わった？）
右手で猫のように顔を撫でて洗う仕草をする人間の理紗子を見ていると、そうとしか思えない。
でも入れ替わったことが事実だとして、どうしたら元に戻るのか。
猫っぽい仕草を繰り返す人間の理紗子を、ただただ呆然と見続けるしかできない。
「深倉先生？」
コンコンと宿直室のドアをノックする音と、理紗子を呼ぶ声がする。
あの声は、受付の看護師の子だ。
壁に掛けられた時計を見ると、とうに起きていなければいけない時間だった。
「深倉先生、起きていらっしゃいますか？」
先ほどよりも大きめなノックの音と、心配げな声。
人間の理紗子が、ふにゃっと立ち上がる。
（えぇ、待ってください。まさかその格好でドアを開けたりしませんよね？）
寝る時に着替えた部屋着のままなのだ。
さすがにパジャマではないものの、髪は寝癖がついているし、顔だってまだ洗っていない。
人前に出ていい姿じゃない。
その前に中身が人じゃない。
必死に人間の理紗子の足にまとわりついて止めようとするも、駄目だった。
「にゃぅ、にゃーう？」
「深倉先生？ 猫でもいるんですか？」
かちゃりとドアが外から開けられた。
瞬間、ぎゅうっと看護師に抱き着く人間の理紗子。
「えぇっ、先生、どうされたんですか？ えっ、待ってください、顔を舐めないでください？！」
ちょっとちょっと、やめてええええええ？！
人間の理紗子の足元で猫の理紗子が叫ぶけれど、当然、その言葉は「にゃにゃにゃーにゃっ」
看護師も本当の理紗子に気づいてくれず、人間の理紗子は看護師にすりすりぺろぺろ止まらない。
「だ、誰か来てくださいっ、深倉先生が、寝ぼけて……いいえっ、激務過ぎておかしくなってしまわれましたっ！」
叫ぶ看護師の声に、何事かとほかの先生達が集まってくる。
（違うの、違うんです、私はおかしくなってないってばー！）
必死に叫ぶ声は、すべて猫の声。
「あら、猫ちゃん、どこから入ってきたの？ ここはちょっと危ないから、こっちにいきましょうか」
同僚が猫の理紗子に気づいて抱き上げる。
その危ないからの危ないは、人間の理紗子の奇行のことを言っているのか。
（誰か、私を止めて～～～～～～～っ）
涙目で同僚に抱っこされながら、理紗子は必死に人間の理紗子に訴える。
――数時間後。
元に戻れた理紗子は同僚に強引に自販機のそばのベンチに座らされた。
「まぁ、ほらさ。あんたも疲れてたんだよ。ほら、ジュースでもおごってあげるから元気出しなさいな」
「ううっ、ありがとうございます……。でもほんとに、あれは、私じゃないんです。私でしたけれど私じゃないんです……っ」
「まだまだ疲れが取れてないようだね。あんたはさ、仕事ができるけど真面目過ぎるのよ。人の痛みはよくわかるのに、自分の疲れには鈍感なんじゃない？」
同僚が、理紗子にジュースを差し出す。
（私、そんなに疲れてたのかな……夢、だったのかなぁ……。いっそ、みんなも夢って事で忘れてくれたらいいのに）
元気だしなよと肩をポンポンと叩かれると、なんだかちょっと泣いてしまいそうだ。
「まぁ、無理しすぎなさんな。ね？」
優しい同僚達に囲まれているけれど。
今日の失態だけは、当分、凹んでしまいそうだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年02月18日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年02月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年02月25日 11時00分
