風の女神様　～あいつをブッとばせ！！～｜リアクション

風の女神様　～あいつをブッとばせ！！～

円形の空間、外周を囲むいくつかの柱、一面の青空、石造りの風の闘技場。真上に映し出されているのは、巨大なデジタルである。100秒からカウントダウンが開始された。ゼロになった瞬間、バトル開始となる。

　恵御納夏朝は風の女神に導かれてその場所へと召喚された。
　説明を聞いた夏朝はほっと胸を撫で下ろす。今回はフツウが壊れるようなことはないようだ。
「僕も……頑張ってみよう、かな？」
　幸い、猫シールは所持している。体に張って、ろっこんで体を重くした。
「まずはアイテムだよね」
　効果音、エフェクトと共に空から落ちてくるアイテムをキャッチするため、夏朝は駆け出した。

「堂々と「ひと」をボコれるチャンスだわ！」
　召喚された闘技場にて、虚栄心は喜びに拳を握りしめた。
　タイミングよく空から落ちてきたブッとばし棍棒が足元に転がる。
　それを素早く拾い、次々と召喚されてくる参加者達を観察する。
「こういう機会を待ってたわ」
　心はニヤリと笑った。

　これから闘技場で行われようとしているバトルに、コル・ティグリスは思案していた。参加者が次々と召喚されてくる。まだカウントダウンは50秒以上あるのでバトルスタイルをじっくり考えることが出来そうだ。
「爪や剣じゃあ、都合が悪そうだ」
　かといって、殴る、つまり物理的な攻撃は加減が出来ない。コルは近くに落ちていた棍棒とブッとばしガンを拾った。

　シグマ・F・FGは闘技場に召喚されてすぐに足元に落ちていた棍棒を拾い上げた。カウントダウンの数字は50秒を切った。
「全員倒すだけだぜ！」
　シグマは試しに、と棍棒をフルスイングする。と、遅れて召喚されたラムダ・Ｆ・ＦＧは辺りを見回した。
「お、来たか、ラムダ」
「何気に、呼ばれてきたけど、そういうことなんですわね？」
「おうよ、やるぞ！」
「……呼ばれたからには、勝つまでですわ」
　二人はカウントダウンが０になる瞬間を待つ。

　羽生碧南は説明と共に闘技場に召喚された瞬間、臨戦態勢に入った。カウントダウンは45秒を切った。すでにアイテムは所々に落ちてきている。
碧南は空から振ってくる棍棒、ブッとばしガン、そして風の翼を拾い、戦略を練る。カウントダウンが終わるまで、対戦相手達の様子を注意深く観察することにした。

　吉住志桜里と卵城秘月の二人が召喚された闘技場にはすでに数人の対戦相手が待機していた。カウントダウンの数字はもうすぐ30秒を切ろうかと言うところ。
「わかりやすいルールね」
　志桜里がカウントダウンを見上げながら言う。
「ふむ。とりあえず、共闘していこうか、志桜里君？」
「ふふ。もちろん。特攻極めるからには暴れるわよ秘月！」
「何か作戦は？」
「私は縮めて回る、秘月は好きにやっちゃって！」
「了解」
　秘月はそう答えつつ、志桜里のサポートへ回ることにした。

　カウントダウンの数字が０になった。召喚された100人が一斉に殺立つ。そして、風が強くなった。

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