天を狂わす龍の声｜リアクション

天を狂わす龍の声

言葉が通じたのかはわからない。しかし、龍は渦を作ることを止め、空を見上げた。
そして、ゆっくりと体を浮かせ、空へと登っていった。
　無数の龍鱗を残して。

「……どうにかなったみたいだな。後でテオに心当たりを聞いておこう」
　修は安堵の息を吐きながら言う。
　夏朝は眉を寄せた。
「もしかして、隔離……できなくなってる？」
　五人はお互いを労い、笑いあったのだった。

　案内を買って出てくれた水妖仙が突然姿を消してしまい、紫苑は仕方なく風のおさまった通りを歩いていた。
　曲がり角で、莉鳥とぶつかりそうになる。
「わっ」
「！」
　お互い、目を瞬かせた。
「ごめんなさい。空を見てて」
　莉鳥が言うと、紫苑は首を傾げた。
「空？」
「龍が登って行ったように見えたのよ」

　二人はなんとなく空を見上げた。　

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