ロケット花火でBATTLE☆｜リアクション

ロケット花火でBATTLE☆

　小山内海は片手にロケット花火を、片手にマッチを手にして物陰に隠れていた。最初こそ戸惑ったものの、こうなったらやるしかない、と決断してからは早かった。ろっこん「アクセラレイトライン」を使って物陰から襲撃。男女の二人連れ……城山とヒューバートに向けて撃ったは良いが、避けられてしまった。ちぇ、と心の中で呟く。二人はどこかへ行ってしまったようだ。深追いは禁物、と心中で呟きながら、小山内は建物の陰に身を潜めて息を吐いた。
　心臓がどきどきしている。周囲に人がいないのを確かめてから、そっと移動を試みた。そして、人影を一つ見つける。――身長の高い女子の姿。羽生碧南だ。
　羽生はマッチを片手に嘆いていた。マッチよりもロングタイプのライターの方が火を点けやすいのに、と。手にしたマッチを見てそう思うが、ないものは仕方がない。そう考えていた矢先、背後から気配を感じて振り返る。普通のロケット花火よりも数段増した速度で、ロケット花火が飛んできていた。羽生がそれを避けられたのは、奇跡に近いだろう。考える前に身体が動いていた。そして気付く。ここはバスケのコートと同じ、戦場なのだと。羽生の顔つきが、普段のふわふわとしたものから、きりっとした「戦う女」の顔つきに変化した。マッチを擦って、ロケット花火に火を点ける。そして、花火が飛んできた方向へ向かって投げるように飛ばした。……威嚇射撃の意味も込めて。
　そして、素早く手近にあった家の影へと身を隠す。無意識に詰めていた息を細く吐き出した。神経を研ぎ澄ませ、ロケット花火が飛んできていないか、周囲に人の気配はないかを確認する。「襲撃者」は羽生を追い掛けてきてはいないらしい。しんと辺りは静まり返っていた。二人の、静かな攻防が始まろうとしていた。

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