夢で叶える夢｜リアクション

夢で叶える夢

「さぁ、デュエルの時間だよ！」

　夢を叶える夢の中で、白真白はとあるアニメのと全く同じカードゲームの大会の場へと来ていた。
　沢山の観客を前にテーブルを挟んで今正に戦いは始まった。

（そう言えば、ここに来るまでに自分のデッキを良く確認してなかったな。えーと、あ、でもこの手札から考えるにこれはいつものデッキだ）

　そう。真白がこの勝負で用いているデッキは彼女が構築した最新のデッキとなっている。
　どういう原理でそうなっているのかは解らないが、それならば真白としても戦いようは幾らでもある。

（よーし、それならあのコンボ、決めちゃうよ！）

「まずは私のターンね。まずはジャガーファイター召喚！」

　手札から一枚のカードを選び、モンスターカード召喚スペースへセット。それはこの夢の中に来た時に試しに召喚をしてみたあのジャガーファイターであった。
　このジャガーファイターは前準備もなく召喚できるモンスターにしては攻撃力が高いのだが、その代わりにとあるデメリットが設定されているモンスターであった。
　デメリットがあるにも関わらず真白がこのジャガーファイターを使用しているのには当然理由がある。

「次にブレイドウルフを召喚！」

　続けて今度はブレイドウルフというモンスターを召喚する真白。
　このモンスターは毛がまるで刃のようになった灰狼なのだが、召喚するには場に攻撃力が一定値以上のモンスターが存在していないといけないという条件がある。
　その攻撃力は召喚条件がないモンスターでは基本的にクリアする事が出来ない数値なのだが、例外も存在する。その例外の1つがジャガーファイターと言うわけだ。

「そして、この二体を素材にEXデッキからEXモンスター『大いなる輝きのフェンリル』を特殊召喚するよ！」

　ここまでの流れが真白が構築しているデッキによるコンボの最初の流れだ。
　勿論、必ずこういう流れになるわけではなく、コンボの切っ掛けとなるカードは幾つかはあるのだが、今回は手札からこの形となったのだ。

「最後にカードを一枚伏せてターンエンド。さぁ、そっちのターンだよ」

　真白のターンエンド宣言を聞いた相手が早速カードを展開し始める。

（ふむ。向こうは……出すモンスターの種類からしてモンスターの数を短時間で増やしての速攻圧殺デッキ、かな。なら、相性は良いかも。よし、ここだ！）

「ここで伏せカード発動するよ！」
「っ！？」

　まだ相手のターン中に真白が動き、相手が驚愕の表情を露わにする。
　相手の展開の仕方からおおよそのデッキと戦術を把握した上で、ここで動くべきだと判断したのだ。

「私の伏せカードはカタストロフィ！　場のモンスターをすべて破壊するよ！」

　場のモンスターを全て破壊するという事は、当然真白側のモンスターも破壊される、という事になるのだがそうはならない。
　何故ならば大いなる輝きのフェンリルは他のカードの効果を受けつけないという特殊効果を持っているからだ。

「更にフェンリルのもう1つの特殊効果も発動！　永続・伏せカードが発動したときにデッキから墓地に一枚モンスターを送って伏せカードを全て破壊する！」

　大いなる輝きのフェンリルはEXモンスターとしては攻撃力も防御力も高くはない。だが、この2つの特殊効果によって真白の操るコンボの中核をなす存在となっているのだ。

「お、ターンエンドみたいだね。私のターン、ドロー…よし！」

　デッキからドローしたカードを横目で見た真白は心の中でガッツポーズを取る。
　どうやら今の状況に合致するカードを引いたようだ。

「私は永続カードを発動してさっき墓地に送ったモンスターを特殊召喚！」

　召喚されたモンスターは施しの妖精ポルン。緑の髪に透き通った緑色の羽を持つ壺を携えた小さな女の子の妖精だ。
　このモンスターは特殊召喚された時に永続カードを手札に戻して墓地の伏せカードを場に伏せることができるという能力を持っている。
　そして、今墓地にあるカードとは、カタストロフィに他ならない。つまり――。

「さぁ、これでモンスター全破壊と伏せカードの破壊のループがそろったよ！」

　という事だ。
　これこそが真白が構築しているデッキによるコンボの1つであり、数々の敵を打ち破って来た戦術だ。
　それを見た対戦相手は苦悩の表情を浮かべるも、取れる手段がないのか静かにサレンダーを宣告するのだった。

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夢で叶える夢

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