らっかみ！新春☆初夢宝船フェア！　～茄子編～｜リアクション

らっかみ！新春☆初夢宝船フェア！　～茄子編～

●そして、僕らは（恵御納夏朝）

　まず、光が生まれた。
　焼き尽くすほどの、白。それは弾け飛び、奔放に暴れ狂い、光が光を照らしながら膨れ上がり―――２つに割れた。
　そう、元は光だったのだ。白い輝きは消える事なく徐々に人の体を形作る。
　そして、光は２人の無垢な少女になった。

　形から零れ落ちた光達は渦を巻き、少女達の髪を揺らし続ける。少女達は、倒れない。シンメトリーに立ち続ける。
　輝いている。太陽と、月。月は本来は太陽の光を受けて輝くはずなのに、自ら輝いている。そうなのだ。元は光だったのだ。
　太陽は、光を失わない。穏やかに、輝き続ける。
　月は、急速に光を失っていく。まるで世の中の闇を全てその身に背負うかのように。
　彼女達は立ち続ける。生まれ落ちたこの場所に。
　彼女達を分かつものは一体何だったのだろう。元は同じだったのに。こんなにも似通っているのに。それでも、彼女達は分かれてしまったのだ。

　手を、伸ばしたい。
　太陽―――恵御納夏朝は思った。
　君に、触れたいんだ。だって、君はここにいるんだから。僕らは半身だったかもしれないけれど、君は、君であるべきなんだ。

　君を、守りたい。
　月―――恵御納夏夜は思った。
　君を、闇から守りたいんだ。その輝きを失って欲しくないから。君が、幸せである事。それが僕の生まれた理由なんだから。

　太陽は温めたいと思っているのだ。夜の冷えた指先を。
　月はその身を闇に投げ出したいと思っているのだ。朝の温かさのために。
　鏡合わせの願い。終わらないロンド。
　今、僕達がここに在る理由は何だろう。２人は考える。瞼の裏からでも分かる程強烈な光に照らされながら考える。
　光は彼女達を包み続ける。けして輝きを失う事なく。
　彼女達は唐突に理解する。皆を、守りたいんだ。この光で。大事な人を、闇から守ってあげたいんだ。
　僕達が生まれた理由は分からない。けれども、ここに在る理由は分かる。皆が大好きなんだ。全ての、大好きな人が闇に怯えなくていいように。僕達はこの光を絶やしてはいけないんだ。

　この目を開けたら君が見えるだろうか。この手を伸ばしたら君を抱きしめる事が出来るのだろうか。

　それでも、２人は動かない。解っているのだ。この光に包まれているからこそ、お互いの息づかいを感じる事が出来るのだ。
　君が在り続けてくれればそれでいい。目を開けて消えてしまうのならばそれは僕でいい。
　さあ、僕達は愛する人達を照らし続けよう。ありったけの強い光で。君と共に。
　―――それが、僕達の存在理由だ。

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あとがき

担当マスター：ＫＡＮ
ファンレターはマスターページから！

ＫＡＮです。
ご参加の皆様、ありがとうございました！
初夢茄子編、大変お待たせしてすみません。
これだけお待たせしてるので当然個別コメントの余裕もなく、こちらで少しお話しさせて下さい。

皆様、バラエティに富んだ素敵なイラストでした！
その上で物語仕立てにしたり、ＰＣさんの心情に深く触れてみたりと様々に初夢を書かせて頂きました。
その方法によって文字数にばらつきはでましたが、私が注いだ熱量はどの方も全く同じです。
お一人お一人ＰＣさんと向き合って書きました。その点をご理解頂けると嬉しいです。
皆様にとって素敵な初夢でありますように……。
（皆様のアクションのお言葉も拝見しました！　ありがとうございます！）

そして。
今回のシナリオをもって、しばらくマスター業をお休みさせて頂きます。
今まで色々自分の生活をだましだましやっていましたが、ちょっともう執筆時間が限界になってしまって……。
数ヶ月になるか年単位になるか分かりませんが、いつかまた復帰できたらと思っています。
その時が来ましたら、また是非是非よろしくお願いします。皆様、お元気で！
（……と言ってペロリとすぐ次のシナリオ出したら、生温かい目で見守ってやって下さい（笑））

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