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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
らっかみ！新春☆初夢宝船フェア！ ～鷹編～
「ふーん、そうくるんだぁ」
にっこり微笑んだ唇から、普段よりも妖艶さ帯びた声色が漏れる。
チェス盤を挟んで向かい合った相手が、一時の考察の後打ってきたポーンの位置を見つめる壬生 由貴奈。
その足元の方から、ギギ……ガシャンッという機械音が鳴り響いた。
由貴奈とその相手がチェスを繰り広げる場から、ずっと下へ続いた階段。
その先には白黒マスが敷き詰められた地面が広がっており、人と同じ程の大きさの、機械で出来たチェス駒たちが立ち並んでいる。
そうしてたった今、盤の上で動いたのと同じように、駒が歯車と部品が擦り合う音をさせながら重々しく歩き出した。
その様子を一瞥した瞳を手元の盤上へ戻すのとほぼ同時に、自身の駒をポンッと軽やかに置く由貴奈。
「Stalemate、かな」
相手方から『そんな馬鹿な』という視線を向けられるも、彼女の表情は動じない。
―― そろそろ諦めてほしーなぁ。
心の内で呟く。
今にもくすぶっている炎が胸の内を突き破って、相手にぶつけそうになる衝動をひた隠したまま。
Stalemate：膠着状態。チェックメイトはされていない状態で、しかし次の一手を打ちようが無い状態。
Repetition：全く同じ局面を三度続ける事。どちらかが手を変えない限り延々終わらない状態。
由貴奈はこの二種の引き分けとなる状況を、意図的に創り出していた。
これで何度目だろうか。傷ついていないピースはまだあるとは思うけれど……。
ステイルメイトはされた側が基本力量として劣っているか負けであるというのは、暗黙意識である事をこの相手方が知らないはずは無い、とは思いたい。
駒が動くたび、互いに相手の駒を取り合うたび、階下のコたちが衝突し取られた駒のコが大きな音を立てて倒れるのだ。
そんな音を聞くたび、冷静さがどこかへ行きそうになる。
だから出来うる限り、あのコたちが傷つかない動きをもって、且つ、この相手に少しでも早く負けを認めさせる必要があった。
負けた方が勝った方の言う事を叶える。
最初に決めたルールに従わせる為、何十回目にして未だ往生際悪く再戦を申し出る目の前の存在へ、だから静かに、妖艶に微笑んで見せた。
決して運命を覆す事など出来ないのだと、思い知らせるような昏く鋭い光を纏った絶対的強者の笑み。
とうとう、相手方がガックリと頭を垂れた。
聞こえない程に微かな音で、ふぅ、と息をつく。
そうしてガタンッと椅子から立ち上がれば、相手を見下ろし告げた。
「何でも言う事叶えてくれるんだよねぇ。うちのお願いは、
『あのコたちに二度と戦わせない。大事に使ってくれる主人の下へ行かせること』」
向こうが少し驚いたように顔を上げるのを、先程までの熱帯びた瞳とは打って変わって、すっかり冷めた色で見つめ返すに留めて。
もう用は済んだ、と視線を外せば由貴奈は階段を下りていく。二度と後ろを振り返らずに。
「お待たせ～。終わったよぉ。キミたちは、もう自由だよぉ」
現れた少女へ機械音をさせながら、一体、また一体と駒の機械たちが跪くのを見ると、少し慌てたように両手を振る。
「あーいいのいいの。そんなことしなくていいんだよー。
うちはキミたちのご主人になりに来たんじゃないからぁ。
……今度は、優しい人の所に行けるといいねぇ」
へらりと笑顔を向けた。
それよりも損傷の大きいコはいる～？ いるならうちが直すよー、と駒たち一つ一つへ言葉をかけ歩み寄る。
機械にも命がある、とまでは言わない。
けれど、このコたちとて自分を扱う人を選ぶ権利はあるはずだ。
表面の金属が欠けたポーンを見つければ、そっとその箇所を撫でた。
暫くして、敗者な元主人から命令が下れば、ぎこちない動きで元駒たちはゆっくり歩み出す。
その背中にどこか戸惑いを見つければ、
『ご主人見つからなかったら、いつでもおいで～。見つかるまではメンテナンスしてあげるから～』
なんて、最後の言葉を贈った。
振っていた手を下ろした時、キュルルゥ、と機械とは全く異なる音が由貴奈のお腹から発せられる。
そういえばずっと対戦していて、どれだけ食べて無かっただろう。
「む～。うちのエネルギー代としてクッキーいっぱいちょぉだい、とも
付け足せばよかったかなぁ」
ふわぁぁと欠伸もしながらそんな事を呟く表情は、チェスをしていた時とはまるで別人である。
そうして、どこへともなく歩き出した由貴奈の唇から呟きが続いた。
「さてー……そういえばココはどこだろーねぇ」
にっこり微笑んだ唇から、普段よりも妖艶さ帯びた声色が漏れる。
チェス盤を挟んで向かい合った相手が、一時の考察の後打ってきたポーンの位置を見つめる壬生 由貴奈。
その足元の方から、ギギ……ガシャンッという機械音が鳴り響いた。
由貴奈とその相手がチェスを繰り広げる場から、ずっと下へ続いた階段。
その先には白黒マスが敷き詰められた地面が広がっており、人と同じ程の大きさの、機械で出来たチェス駒たちが立ち並んでいる。
そうしてたった今、盤の上で動いたのと同じように、駒が歯車と部品が擦り合う音をさせながら重々しく歩き出した。
その様子を一瞥した瞳を手元の盤上へ戻すのとほぼ同時に、自身の駒をポンッと軽やかに置く由貴奈。
相手方から『そんな馬鹿な』という視線を向けられるも、彼女の表情は動じない。
―― そろそろ諦めてほしーなぁ。
心の内で呟く。
今にもくすぶっている炎が胸の内を突き破って、相手にぶつけそうになる衝動をひた隠したまま。
Stalemate：膠着状態。チェックメイトはされていない状態で、しかし次の一手を打ちようが無い状態。
Repetition：全く同じ局面を三度続ける事。どちらかが手を変えない限り延々終わらない状態。
由貴奈はこの二種の引き分けとなる状況を、意図的に創り出していた。
これで何度目だろうか。傷ついていないピースはまだあるとは思うけれど……。
ステイルメイトはされた側が基本力量として劣っているか負けであるというのは、暗黙意識である事をこの相手方が知らないはずは無い、とは思いたい。
駒が動くたび、互いに相手の駒を取り合うたび、階下のコたちが衝突し取られた駒のコが大きな音を立てて倒れるのだ。
そんな音を聞くたび、冷静さがどこかへ行きそうになる。
だから出来うる限り、あのコたちが傷つかない動きをもって、且つ、この相手に少しでも早く負けを認めさせる必要があった。
負けた方が勝った方の言う事を叶える。
最初に決めたルールに従わせる為、何十回目にして未だ往生際悪く再戦を申し出る目の前の存在へ、だから静かに、妖艶に微笑んで見せた。
決して運命を覆す事など出来ないのだと、思い知らせるような昏く鋭い光を纏った絶対的強者の笑み。
とうとう、相手方がガックリと頭を垂れた。
聞こえない程に微かな音で、ふぅ、と息をつく。
そうしてガタンッと椅子から立ち上がれば、相手を見下ろし告げた。
「何でも言う事叶えてくれるんだよねぇ。うちのお願いは、
『あのコたちに二度と戦わせない。大事に使ってくれる主人の下へ行かせること』」
向こうが少し驚いたように顔を上げるのを、先程までの熱帯びた瞳とは打って変わって、すっかり冷めた色で見つめ返すに留めて。
もう用は済んだ、と視線を外せば由貴奈は階段を下りていく。二度と後ろを振り返らずに。
「お待たせ～。終わったよぉ。キミたちは、もう自由だよぉ」
現れた少女へ機械音をさせながら、一体、また一体と駒の機械たちが跪くのを見ると、少し慌てたように両手を振る。
「あーいいのいいの。そんなことしなくていいんだよー。
うちはキミたちのご主人になりに来たんじゃないからぁ。
……今度は、優しい人の所に行けるといいねぇ」
へらりと笑顔を向けた。
それよりも損傷の大きいコはいる～？ いるならうちが直すよー、と駒たち一つ一つへ言葉をかけ歩み寄る。
機械にも命がある、とまでは言わない。
けれど、このコたちとて自分を扱う人を選ぶ権利はあるはずだ。
表面の金属が欠けたポーンを見つければ、そっとその箇所を撫でた。
暫くして、敗者な元主人から命令が下れば、ぎこちない動きで元駒たちはゆっくり歩み出す。
その背中にどこか戸惑いを見つければ、
『ご主人見つからなかったら、いつでもおいで～。見つかるまではメンテナンスしてあげるから～』
なんて、最後の言葉を贈った。
振っていた手を下ろした時、キュルルゥ、と機械とは全く異なる音が由貴奈のお腹から発せられる。
そういえばずっと対戦していて、どれだけ食べて無かっただろう。
「む～。うちのエネルギー代としてクッキーいっぱいちょぉだい、とも
付け足せばよかったかなぁ」
ふわぁぁと欠伸もしながらそんな事を呟く表情は、チェスをしていた時とはまるで別人である。
そうして、どこへともなく歩き出した由貴奈の唇から呟きが続いた。
「さてー……そういえばココはどこだろーねぇ」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2019年01月02日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年01月09日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年01月09日 11時00分
