【終業式】負けられない！　夏休み前哨戦！！｜リアクション

【終業式】負けられない！　夏休み前哨戦！！

　今日はどうつまらない夜を埋め合わせようか、と席を立つとため息を吐く担任と目が合った。あぁ、そうか、「話をしようか」と言われていたんだ、自分は。
「出席日数についてですか」
　自然と、さゆるの口からそんな言葉が出た。
「それもある」
　巧が片目を瞑って、飄々と言う。
「ほんまはちと込み入った話やから、生物準備室で話そ思たんやけどな。まぁ、内容的に短いからここでもええわ」
　そういいながら巧はさゆるに向かい、ぴっ、と一本の指を立てる。
「１つ目。出席日数についてはほんま危ない橋渡っとんな、朝鳥さん。でもな、ちっと気にしていた方がええとおもうよ」
　進級したいならば、と付け加えた担任の顔を見て、さゆるはきょとんとした。担任からは諦めも怒りも感じない。心配は感じている物の、おおらかに包み込むような何かを覚える。
「２つ目は、何ですか？」
　不思議に思い心当たりがないさゆるが問うと、巧は少しだけ眉を下げた。
「朝鳥さん、ちゃんと食べてるか？　いや、顔色悪いから気になってん。最近な、朝食を抜く生徒が多いち聞くんや。それでな」
「……とりあえず、コーヒーとサラダとトーストぐらいなら」
　と、カフェで取った今日の朝食を思い出しながら答えるさゆる。だが、確かに口にしない日もあるな、と彼女は考えた。
「学校で見かける度に顔色が気になってな。まぁ、学校に関しては朝鳥さんが行きたい時でええわ。……君は、たぶん学校に収まりきれん何かがあるんやろう。あるいは……」
　そこまで言い、巧は少し首を振る。おそらく、彼の中で何かの線を踏み越えぬよう気を払ったのだろう。
（そこまで気にしなくても）
　と、さゆるは思う。この担任は、自分を見捨てはしないだろうという何かを何となく感じているのだ。
　どことなく自分に向けられる寂しさが、まるで誰かに似ているような気がしつつも、さゆるは
「ご忠告ありがとうございました」
　とだけ言って一礼し、教室を後にした。あとに残された巧は、ぽつりと
「どうして、そんな寂しそうな目ぇしとるんやろうな」
　と呟いたがさゆるには聞こえているのだろうか？

　倫理子……否、Maliceは自分に向けられる羨望や嫉妬の眼差しを、楽しんでいるようだった。
　事の発端は数分前。担任である大柴ツヤ子が通知表を返した時の事である。
「よく頑張りましたね、葉利沢さん。でも、身体の事も大事にね？」
　と受け取った通知表はかなりの好成績であったからだ。病気がちで学校を欠席しがちな彼女ではあるが、テストの成績は良い。その為だろうか。だが、Maliceには関係のない事だった。
　ツヤ子は「学校も、少しずつでいいから来てね」と言っていたが……。
（そうね）
　Maliceはくすり、と笑って通知表をカバンにしまう。そして、チャイムがなると同時に優雅に教室を後にした。

　校門を通り過ぎようとした時、真っ青な空に飛行機雲が走るのを見た。
「なんだかいいコトが起こりそうな予感ね」
　彼女は楽し気に笑い、しばらくの間その雲を見つめた。

　大騒動に次ぐ大騒動の果て、夏休みはくる。
　果たして、みんなはどのような夏休みを迎えるのだろうか？
　ただ忘れないで欲しい。
　そのために全力を尽くし、すっぱになったり性転換しちゃったりはじけたりした『兵』達がいることを。

　――夏休み前哨戦・終

おまけ
寝子小にて
「サンマさん、ちいさくてもかっこよかったなぁ」
　と、のんびりへにゃりと笑う曖浜瑠樹の傍らで、
「映画のチケット……大人ならすぐ買える……と思ったけど、前売り券の方が安いから、なんだねぇ」
　と一人感心する菊地まな。
「まぁ、見つかったからいいだろう。でもな……竜世、お前なぁ……！　お前が持ってきたスライムの所為で混乱しただろ！」
「えー！？　知らなかったんだよ、いや、ホント！！」
　まなに同意しつつもスライムを持ってきてカオスを呼び込んだ張本人である源竜世に突っ込みを入れるタイラ・トラントゥール。
「あの美和ちゃんって先生、ちょっと子供っぽいかも」
　悪い人ではなさそうだけど、とも思う佐藤瀬莉に滝原カノンはにっこり笑顔で
「掃除がんばったらトラブル？　も解決できたみたいだしみんなでその先生の落とし物を見つけて解決したんだよね？　いいことしたんだよ」
　と頷く。
「喜んでもらえたみたいだし、これで夏休みがくるならがんばった甲斐があると思うの！　それにちょっとでも高校生気分を味わえたし！」
　百岳甘桃も結果を出せて満足なようだ。
　何はともあれ、未来の寝子高生（になるかはさておき）の諸君もおつかれさまでした！！

　――おまけ・終

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

大変お待たせして、申し訳ありませんでした。
菊華です。
まずは本条小萩さん、菊地まなさん、ガイドへの登場ありがとうございます。

夏休みの前哨戦はリアクションの通りの結果です。
皆様、大変お疲れさまでした。

いやぁ、若いっていいですネ！！

この後皆さんがどんな夏休みを過ごしたのか、色々想像して楽しかったですっ！！

それでは、またどこかでお会いしましょう。
菊華　伴でした。

。。。。。。。。。。。。。

今回の称号と取得物
掃除場所などで変わります

＞体育館掃除組
称号：デンジャラス体育館の覇者
取得：きれいなタオルとスポーツドリンク

＞校庭
称号：炎天下の草原で君とランデブー
取得：着替え用Tシャツとスポーツドリンク

＞プール掃除
称号：スライムプールはカオスでいっぱい
取得：スライム状のおかしとサイダー
※衣服は、気が付いたら元に戻っていました

＞プール（更衣室）
称号：むふふなお宝発掘しました
取得：いちごミルクのキャンディーと、サイダー

＞廊下・教室
称号：弾丸と落書き魚と反転と
取得：お魚型クッキーと麦茶

＞保健室組
称号：あなたのために、今、できること
取得：麦茶と熱さまし用シート

＞日常組
称号：夏休みの足音
取得：アイスコーヒーとドーナッツ

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