授業風景～番外編・自習の場合～２｜リアクション

授業風景～番外編・自習の場合～２

○ジェスチャーゲーム！

　萌々子の絵にののこが夢中になってくれて安堵した英二ですが、それはつかの間のことでした。
「ありがとう！　すごく上手だね、また描いてね～」
　そう言うとののこが萌々子の元を離れました。
（ののこ様、もう行ってしまわれるのですか……）
　ちょっと寂しい萌々子がののこの姿を目で追うと、ののこは黒板に向かいました。
　そしてチョークを取り、絵を描き始めたのです。
　しかも歌いながら！
「の、野々さん、歌はちょっと……」
　英二が慌てて止めます。
「身体動かしたくなっちゃったけど、ちょっと道具を使わない遊びを思いつかなかったから。歌ったほうが楽しいし」
「でも隣のクラスの授業の邪魔になるのは申し訳ないし、なるべく静かな遊びにしない？」
　英二は、静かな遊びを提案するべく頭をひねります。
「そうだ、ジェスチャーゲームはどうだろう」
「ジェスチャーゲーム？」
「そう、動物の名前のお題を紙に書いてそれを引いて、ジェスチャーでその動物を表現するんだ。しゃべっちゃだめだよ。そして当たった数を競う」　
「面白そう！」
　さっそく紙に動物の名前を書きます……犬、猫、ラッコ、ペンギン、フラミンゴ、アザラシ、パンダ……
「まず私から行くね！」
　ののこが声を上げました。お題の紙を裏返し、そこから一枚を引きます。
　ののこはしばらく考えていましたが、両手を脇につけてよちよち歩き始めました。
「……わかった！　ペンギンですね」
　萌々子が声を上げました。
「ピンポーン！　正解！　次は英二くんの番だよ～」
（気に入ってくれたようでよかった）
　ほっとした英二がお題の紙を引きます。
（猫か……手で耳を作って、ヒゲを生やして……）
「ウサギ？」
「キツネじゃない？」
　いつのまにかギャラリーが増え、皆が答えを言います。
（あとは何だろう、鳴くわけにはいかないから、招き猫のポーズかな）
　招くポーズをすると、
「猫！」
　ののこが元気に答えてくれました。
「正解だよ」
　英二はののこと共にジェスチャーゲームを楽しみましたが、ふと問題に気づきました。
（これ、ジェスチャーしてる本人は喋れないけど、回答者やギャラリーは盛り上ると声が大きくなって、結局騒がしくなるんじゃあ……）

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