Re:シーサイド・ザ・クラブ｜リアクション

Re:シーサイド・ザ・クラブ

●●●治癒●●●
　刀達の戦闘を横目に止血作業を続けていた碧南。
　しかし、少し違和感を覚えて琴代に話しかけた。

「ねぇ、あなたもしかして、何かの能力を持ってたりする？」
「え…？」

　聞かれた琴代は何を聞かれているのか分からない様子で碧南を見返す。
　碧南が聞いたのも無理はなく、カニの攻撃を真正面から受けたはずの腕からは血が止まりつつある。
　蒼留人や莉鳥に襲い掛かっているカニの攻撃を横目に見てると、そう軽い攻撃ではないと見えた。

　とすると防御系の能力や回復系の能力を使った可能性がある。
　しかし、小首をかしげる琴代を見るにそう言った訳でも無さそうであった。
　もやもやと碧南が考えていると、直也が到着した。

「すみません、手間取りまして…。武井さん、大丈夫ですか？」
「あ、はい…羽生さん達のおかげで…えっと、ありがとう」
「うん。どういたしまして。それでサラリーマンさん、包帯とかは？」

　慌てつつも色々な荷物を取ってきたようで、探しながら話しかけていた直也。
　ちょうど見つけた救急セットを碧南に渡して、ブルーシートを敷き始める。
　琴代を移動させ、テキパキと応急処置を施していく碧南。
　中学からバスケット部に所属する碧南にとっても応急手当の心得も多少はあった。

「よし、これでひとまず安心かな。それじゃ、私も加勢してくるわね」

　軽快そうに碧南が砂浜に向かう。その背中に小さく、ありがとう、と繰り返した琴代。
　聞こえていたかは分からないが、碧南は固くて使い勝手のよさそうな流木を手に取り、海水を見据える。
　呼気を整えて踏み込んでいく横顔は、バスケの試合の時ほどではないものの『戦う女』と言えそうであった。

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