Re:シーサイド・ザ・クラブ｜リアクション

Re:シーサイド・ザ・クラブ

●●●迎撃●●●
「色の違うカニを倒せばいいんだな？」
「かかって来いよ、お前らまとめてカニ鍋にして食ってやる！」
「去年の蟹がまた復活…難儀なものね」

　琴代の解放を碧南に任せた蒼留人、刀、莉鳥は海を目の前に戦闘態勢をとる。
　去年と似た現象であることはSNSの情報と刀の情報共有から理解したもれいび達。
　各々が海水へと向かっていく。

　最初に着水したのは刀の木刀だ。体勢を整え、海面を滑るように移動していく。
　刀のろっこんは撃鉄が落ちるイメージをすることで高速移動が可能になる。
　そして、進化能力で本来足場にならない海面を足場にして移動することができる。

「そこだっ！」

　程よく奥まった海面に木刀を振り下ろす刀。
　不自然な波がせりあがりそうなところの変な色のカニを潰していく。
　精神も加速するため、変な色のカニを見てから倒すことができ、少なくない波が消えていく。

「さっきは武井さんが居たからできなかったけど」

　そう呟いて刀が出現させた行き場を失った波へと狙いを定める莉鳥。
　目を閉じ、指先に意識を向けて気を集中させる。
　莉鳥の髪を凪ぐように緩やかな風が通り抜けると指先に電気が発生した。

「これで戦えるわ」

　発生した電気は莉鳥が狙いを定めた方向へと向かい、不自然な波に直撃をする。
　これが莉鳥のろっこん【スタンハンド】である。
　飛び出したカニも堪えかねた様子で力を失い、ぼちゃぼちゃと海水に落ちる。
　隣あった波にも電流が効いたようで、波が減っていく。

「なるほど、これが寝子島の通常運転ですか…」

　電流を受けないように距離を保ちながら不自然な波を木刀で蹴散らしていく蒼留人。
　刀と莉鳥の様子を見つつ、声を漏らしたのも仕方がないだろう。
　フツウではないことに対して、どうすればいいか冷静に判断して動く。
　言うことは簡単だが実行できるのは難しいと、剣道部に属するものとして感じたのだろう。

「今はとにかく数を減らさないと…なッ！」

　蒼留人の薙いだ木刀の先に複数のカニが宙に舞う。
　その中にフツウではない色のカニはいなかったが、関係ないとばかりに繰り返し木刀を振るう。
　すると差し迫ってた不自然な波が引いていく。見えはしないが、カニを倒していたようだ。
　ふう、と息を吐き砂浜へと足を戻す蒼留人。

「しかしきりがないな。同室のあいつがいれば一緒にボールで倒してくれたかもしれないが」

　蒼留人は思い浮かべるのは解決に向きそうな特技を持つ寮で同室のもれいび。
　今日は一人のタイミングで遭遇したカニ。夏はこれから、まだまだ浜で楽しみたい。
　そんな思いで直也に頼んだ網が到着するまで木刀を振るうため、海水へと足を踏み入れる。

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