レインボーラッシュ！｜リアクション

レインボーラッシュ！

「わぁ、何か凄い洞窟発見！」
「へぇ。何だか不思議な感じする洞窟ねぇ」

　アリス・ミーティアは友人であるフォルカ・ヴィクスンと共に寝子島の観光をしていたのだが、その途中で不思議な洞窟を発見する。
　2人は知らなかったが、その洞窟こそ虹色洞窟と呼ばれ噂されている洞窟であったのだ。

「フォルカは何があると思う？」

　何が見つかるかな？　とばかりに懐中電灯を片手に早速洞窟の中へと探検へと向かうアリスは隣にいるフォルカにそう尋ねる。

「うーん、そうねぇ。パッと見、色々な石とかがあるみたいだけど。あ、宝石もあるわね」
「え、宝石？」

　勘だよりに前へと進んでいたアリスはフォルカが指差すところに綺麗な宝石がある事に気付く。それもあまり見た事のない綺麗な宝石だ。

「わ、わっ！　本当、宝石！　凄い！　寝子島でこんなところがあるなんて大発見！」
「ふふ、アリスちゃん。驚いたのは解るけど、少し声のトーンは落とした方が良いよ」
「あっ、ごめんね。つい大声出しちゃった」

　シッーと人差し指を口の前に持ってくるフォルカ。そう言われてアリスは自身の声が知らず知らずの内に大きくなっている事に気付いた。
　果たしてこの洞窟の中に他に人がいるのかどうかは解らない。ただ、洞窟だけあって声は良く響くのであまり大きな声を上げない方が良いのは確かだろう。

「沢山の宝石があるけど……。流石にこれ全部を持って帰るのは無理だよねぇ」
「そりゃ無理ってものよ。まだまだ歩くんだし」

　そう言いながらも背中のリュックへと試しに幾つかの宝石を入れる辺り、諦めきれないというアリスの心情が現れていた。
　しかし、試してみたは良いもののやはり重さはしっかりとあるのだ。重くて背負えないという状態にするわけにもいかなかった。
　仕方なしにアリスは持って帰る石を吟味する為に覗き込むように石を観察していく。

「……あれ？　何か、寝子高の制服を着た私が見えるよ？」
「アリスちゃん？」

　すると、アリスの目に不思議な光景が見え始める。一緒にいる筈のフォルカの声がどこか遠くに聞こえる。
　耳が尖ってないし羽根も無いアリスが寝子島の学校の制服を着ているという光景。果たしてそれが何なのか？　アリスに解る筈もない。もしかしたら、生まれ変わった姿なのかもしれないと思う。

（あー、別に意外じゃない、かな？）

　その光景を見たアリスはそんな感想を抱いた。今の自分とは違う自分。だけど、それに対して違和感というものを感じないのだ。
　何故かははっきりとは解らない。だけど、石の中にいる自分の事をすんなりとアリスは受け入れる事が出来ていた。
　気付けば石の中に確かに見えていた映像は消えていた。少しだけその事に残念な思いもあったが、それを振り払うかのようにアリスはフォルカの方を振り向く。

「ね、フォルカ。学校に通うってのも楽しそうだね。その時はやっぱりフォルカが同級生だといいな。それで、放課後寄り道とかしてみたい！　カラオケ行ったり発掘したり……」
「いやいや、アリスちゃん。多分、学生は発掘とかしないわよ。石の中の私達もそんな事してなかったじゃん」
「え、発掘はしないの？　って、もしかしてフォルカも何か見えたの？　気になる！　教えて！」
「残念、ひーみつ」
「えー、教えてよー！」

　楽し気なアリスとフォルカの声が洞窟の中にこだまする。まるでそれはいつまでも仲良い2人を示すかのように。

「あ、ねぇねぇ。この宝石って星幽塔にも持って帰れるかな？」
「ん、多分大丈夫じゃない？」
「そっかー。アクセサリーに加工したいな。ブレスレットとかネックレスがいいかな？」

　そう言ってアリスは先程の映像が見えた宝石をフォルカへと見せるように掲げるのであった。

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