合戦、鬼ノ島｜リアクション

合戦、鬼ノ島

鈴の音を聞いた志波高久はいつの間にか異世界の島に立っていた。赤い空、溶岩が固まったかのような地面が広がっている。
「あれは……」
　遠くに見えるのは着物に刀の侍達、そして彼らと戦っているのは様々な姿をした鬼達だった。
　侍達の形相は凄まじい。目に見えて、劣勢だとわかる。
「鬼な、侍、不利な状況……なるほどそういうことか」
　高久はものの数秒ですんなりと受け入れた。息つく。
「やるべきことが分かりやすくて助かった」
　格好は黒色の当世具足、太刀は腰に。つまりは、侍に加勢せよ、ということなのだろう。
　高久は腰の太刀に手を添えた。
「よし」
　気合いを入れて、駆け出す。
「！　危ないっ」
　大戦中にバランスを崩した侍の前に入り、鬼の攻撃を受け止めた。
「助太刀する。君たちは身を守ることと前線基地の守りを強固にすることを優先してくれないか？　伝えてくれ」
「あ、ああ、かたじけない」
　高久は刀で鬼を押し返し、
「はっ！」
　刀の切っ先を喉元へ突き刺した。素早く抜き取ると、激しい出血が起こる。高久はすぐに後退して、血飛沫を避ける。
「頭が崩れれば形成は逆転するだろうが……どこにいる？」

　鈴の音を聞いた響タルトは驚いて自分の姿を見おろした。
　いつもの制服ではなく、全身をくノ一の黒装束に身を包んでいる。着物がベースになっているようだ。ミニスカートのように短い丈で、その下にはホットパンツのような履き物を身に付けていた。非常に動きやすい。
「ニンジャになってる？」
　ふと遠くを見やると、侍達が鬼と死闘を繰り広げていた。
「もしかして、鬼退治なの？」
　ここがどこなのかわからないが、状況はなんとなく飲み込めた。
「んー、面白そうだね。あ！　あれは」
　少し離れたところに見慣れた姿が。
「アケーチさんも一緒かあ、楽しめそう♪」

　水上桜は鈴の音がなり終わらぬうちに絶叫した。
「またしても「フツウ」かぁっ！」
　もう何度目になるだろうか、桜の魂の叫び。
　そこは寝子島ではない場所だった。
　遠くに見えるのは侍と大小様々な鬼達の姿。
「鬼の……島？」
　侍達は鬼達と必死の攻防を続けている。どうやら鬼退治が行われているらしい。
「あ、この服」
　桜が身に纏っていたのは、目にも鮮やかな緋色の赤備えだった。　　姫大将といったところだろうか。

　鈴の音を聞いた吉住志桜里は鬼ノ島に立っていた。遠くに見えるのは攻防を繰り広げる鬼と侍達。志桜里は状況を察した。
「人の子が此身ですが。召し喚ばれたからには、尽力致しましょう」
　袴に甲冑の一部と長手甲、得物は右手に刀、左に鉄籠手。
持ち前の古武術とよく合ったものが供されたようだ。
　志桜里は刀を一振りし、いつもの構えを取る。
「いざ……！」

　鈴の音を聞いたアケーチ・タッマーキが立っていたのは、見知らぬ場所だった。遠くに見えるのは侍と鬼達の死闘。
「ここは……おや」
　ほしびとの姿だった。大きな白い羽根、白の忍び装束、武器は腰に差した日本刀と手裏剣。
「雅な服装に変化しておりますね。そして……なんとも力強そうな方々……ふふ、私と踊りましょう……！」

このページにイラストを設定する