テスト勉強しなくっちゃ。夏！｜リアクション

テスト勉強しなくっちゃ。夏！

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気づけば、結構長い間集中していたように思う。図書室が少し空いてきたように見えるのは、気のせいだろうか。
公民漬けの時間で疲れた心を癒やすため、夏朝は席を立つ。
もちろん、彼女にとっての癒やしといえば猫。探すのは、猫の本とか写真集とか。
確か新刊案内に『猫舞踏』なる、猫がダンスしている（ように見える）ものばかり集めた写真があるとかないとか……。
（猫さんの本なら、さらっと読めるし覚えられるのになぁ……）
全編猫さんが解説してくれる参考書とかあれば、すらすら覚えられる気がするのに。
（写真集ってどの辺りだっけ……あれ）
本棚の間を抜けたところに、八人がけのくらいの大きな机。その隅の方に、修とあおいが座っている。
休憩中なのだろう、自前だったり図書館のだったりする問題集を、今は閉じていて。
猫の写真集を見ていた。
自然と猫の調和した、かわいい写真集を。

勉強が一段落したところで、修とあおいは少し休憩することにした。
休憩の友は、自然と猫の写真集。ちなみに図書館のではなく、修の自前だ。
「修君、写真好きよね。ほら、この前も写真展に誘ってくれたし」
肩がぶつかるかぶつからないか、そんな距離で一緒に写真集を眺めながら、あおいが呟く。
「新聞部だし、自分でも撮るからかな」
撮る側、扱う側だから。見るのも好きになったのかもしれない。
あおいのペースに合わせて、修はページをめくる。
一面のたんぽぽの中に一匹の猫がたたずむ、かわいいけれど、一方で猫の眼差しに不思議としんみりするような、そんな写真が現れる。
「あおいは、どんな猫が好き？」
「そうねー……、あれっ」
ちょっと考える素振りを見せた後、あおいはふと視線をあげた。
つられて修も視線を移せば、二人の斜向いあたりから写真集を見つめる夏朝の姿があった。
「恵御納？」
修がそっと声をかけると、ハッと夏朝が顔を上げる。
「ご、ごめん僕ったら、写真の猫さんがすごくかわいくてつい……！」
試験勉強に対する癒やしを欲する心には、あまりにも魅力的だったのだ。
弁明しつつ後ずさる夏朝に、修とあおいが微笑む。
「恵御納も一緒に見るか？」
「かわいい猫、いっぱい載ってるよ」
休憩中とはいえ、二人で勉強してたところに混ざっていいのかな……とか。でも猫さんかわいいな……とか。
しばしの葛藤の後、
「……じゃあ、ちょっとだけ」
ちょっとだけ、一緒に眺めることにした夏朝だった。

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