【星幽塔】第九階層　海原の咖喱工房｜リアクション

【星幽塔】第九階層　海原の咖喱工房

亮はカリブーに感謝しながらカリブーステーキを乗せたカレーを食べている。意外と臭みは少なく、それでいてコクのある味わいに食欲がそそられる。まもるお手製のカリブーソーセージもぱりっ、と焼けて香ばしい。
「こっちのソーセージもいけるな」
「よかった。それは嬉しいな。あぁ、そっちの蟹カレーもおいしそうだ」
「気になるの？　なかなか美味しいわよ？」
　まもるが亮と話しながら目を向けたのは、ティオレの蟹ずくしカレー。蟹の身をほぐしたトッピングに蟹みそを入れたカレー、サラダにも蟹の身と蟹みそとちょっとリッチな気分になれそうだ。
　まもるは「おかわりは蟹カレーにしようかな」と考える。ティオレはティオレで「カリブーもいいかも」と興味を持ったようだ。
「そういえば、サバクツノトカゲはどうなったのかしら？　渡り鳥のカレーもあるみたいだけど……」
　ティオレがふと呟くと、同じことを考えていた桜が匙を止めた。
「この渡り鳥のカレーはさっぱりしているけど、カレーによく合います。やっぱり他のカレーも気になる……」
　この２人、あとから色々なカレーを試すのだが桜は「ちょっと食べすぎちゃったかな……」と悩みティオレが踊るのを見て「こうやって消費してみようかしら……」と考えたとかなんとか。
　悩んでも仕方ない、と言いながら海硝子の福神漬けを食べればほどよい甘さと塩加減に口がさっぱりする。ティオレは「こういう食べ方もあるのか」と興味を示していた。
「やっぱりカレーには福神漬け……ってつい考えちゃいますよね」
「そうだよなぁ」
　桜の呟きに答えた声の主は、刀だった。腹ペコ剣士はここでも全力でカレーを食べていた。渡り鳥も、カリブーも、蟹も、トカゲも等しく彼の胃袋の中に入って行く。
「このトカゲの肉は予想以上に臭みがないんだな。しかも固くない。でも鶏肉よりコクがある。豚肉みたいなぷるぷるとした脂肪もちょっとあって……、おいしい！　がんばった甲斐があった！」
　そういいながらおかわりしようと、ご飯を皿に盛る刀。その途中でふと、カレーをかけてくれるルータにそれとなく問う。
「あのさ……、一晩寝かせたカレーも食べたいんだ。明日も来ていいか？」
「勿論どうぞ～」
　その言葉に刀はおもわずガッツポーズを見せる。修はそんな刀に「御剣らしいな」と苦笑していた。
「しかし、こっちのキノコも美味しいが、トカゲがこんなにおいしいとは。カリブーもいけるが……」
　少量を食べ比べする修は、カレーが残ったらカレーナンにしてみようかな、とか何となく考える。のちほどソレが実行に移された後「これ、意外と売れるんじゃない？」とか思ってしまった修だった。
「どれもこれも美味しいな……。って、それは辛そう……」
「はうぅ！？　とっても辛かったです！」
　飛龍とリリエルも修と同様に少量を食べ比べ。だが、リリエルは少し唐辛子を入れすぎてしまったらしい。口直しにサラダを食べ、どうにか辛さに耐えている。
「そんな貴方もかわいいですよ。おっと、この辛さ、たまりませんねぇ」
　アケーチもまた辛いカレーに笑顔で挑んでいる。彼は自分が取ってきたキノコもいいけど、第三階層の野菜もいいなぁ、とほっこりしていた。
「これは、どれもこれも素敵です」
　幸せそうなアケーチに、飛龍とリリエルも頷く。みんなで集めた材料で作ったカレーだからこそ、美味しさもひとしおだろう。
「あぁ、皆さんの愛！　愛を感じます～！」
「うん……テンションの上がりすぎには注意な？」
　幸せそうにくねくねするアケーチに、飛龍は思わず困惑しつつも窘める。リリエルは、わいわい言いながら食事をする様子を眺め、満足そうににっこり笑った。
「みんな、本当にありがとう。僕も嬉しいなぁ」
　ピエロットがへにゃり、と笑って言えば、ルータとアメルも一礼する。
「みなさん、よかったらまた食べに来てほしいんだな」
「腕によりをかけてご馳走します。あぁ、でも……またカレーの材料を探しに行ってもらうかもしれません」
　ルータとアメルの言葉に、なんか予感めいた何かを感じる一同。しかし、それをさしおいてもまた美味しいカレーが食べたいな、とだれもが思うのだった。

　こうして、今回の依頼は終了する。今後も『ぐつぐつお鍋号』ではカリブーステーキカレーや渡り鳥カレー、蟹のカレーにトカゲカレーが時々ではあるがお店に出るそうな。
　そしてその翌日
「美味しいカレーで、みんなが幸せになるといいんだな」
　ルータはお鍋をぐつぐついわせながら、楽しげに笑う。その様子を見ながら刀はカレーを幸せそうに食べる。波の音も、喧騒も、カレーを美味しくしているような気もして、刀はのんびりくつろいだのだった。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

菊華です。
今回はリアクションが遅くなり、大変申し訳ありませんでした。
そして、ミハエル・マクレインさん、リリエル・エーテライトさん、ゲース・アイルンアルムさん、見帰り沼のコトコさん、アケーチ・タッマーキさん、ガイドに登場してくださり、誠にありがとうございます。

今回は、カレーの材料をゲットするためにがんばってもらうシナリオでした。
いやぁ、あれこれ考えてどんなカレーができるかな～、と楽しんでいただけたのならば幸いです。
今後もこの『ぐつぐつお鍋号』の話はだしたいな、と思っておりますのでよろしくお願いします。

また今回の材料集めの際、副産物でいろいろゲットしておりますので個人コメントの確認もよろしくお願いします。

それでは短いですがこの辺りで。
また縁がありましたら宜しくお願いします。

菊華　伴

追伸
今回の皆さんへの報酬です

称号：材料ハンター
取得：『ぐつぐつお鍋号』特製カレーナン
　　　（今回のシナリオでゲットした材料を使ったカレーを入れたナンです）
　　　『ぐつぐつお鍋号』特製ラッシー
　　　（長持ちする不思議なタンブラーに入ったラッシー）

　　　※カレーナンと特製ラッシーは、どっちも体力・精神力を回復させます。

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