携帯戦記カプセルギア　第六話「仮面に隠された陰謀を暴け！」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　第六話「仮面に隠された陰謀を暴け！」

　龍樹と瑠樹から齎せたのは『0212』、菫とキリエから齎されたのは『2012』と『1022』。この３つのうち１つが本物である。
「どれだと思う？」
　玲音が首を傾げるが、雪人も翔もぴんとこないらしい。とりあえず再びギアを機械の所へ進ませようか、と話していたところに一人の大人が近づく。
（まずい！）
　バレたか、と身構えた３人であったが清掃員らしき大人はにっこり笑った。
「今からこのあたり清掃に入ります。こちらに移動お願いしますね」
　そう言って清掃員が３人をだれもいないイベントステージ側へと連れていく。彼はウインク１つすると出入口付近から椅子の点検などを始めた。イベントの最終チェック中にやってしまえ、というのだろうか？
（今の声は？）
　聞き覚えのある声に、３人はどきりとする。だが、清掃員は３人にはっきり言った。
「時間がない」
　３人はすぐさま行動に移る。サニィとボナパルト２がコードをかき分けて道を作り、リットと端末へと向かいパネルを操作する。
「何回間違えたらアウトなのか……」
　翔が覗くと、機械には赤い丸が２つある。もしかしたら２度間違えたらアウト、なのか？　と少年は考察する。
「パスワードは３つ。チャンスは２回……」
　玲音はしばし考えたが、迷ってしまう。それは雪人と翔もである。
「てきとーにやっちゃおうかな……」
「いや、それは得策じゃないな。なにかヒントがあれば……」
　玲音の提案に雪人が首をふると、先ほどの清掃員が一枚のポスターを指さした。そこには『ユグドラシル』の会社のロゴが大きな木と一緒に描かれている。玲音は首を傾げる。
「この木なんだろう？」
「ユグドラシルは、とある神話に登場するもので、世界を支える大きな樹だったかな」
　雪人が記憶をたどっていると、そのそばで翔がまじまじとその木と数字を見ていた。清掃員は興味深そうに翔をみやる。
「いたく気になっているみたいだね」
「……たしか、錬金術とか出る漫画でみた『セフィロトの木』という物も世界樹を図式化したものだと書いてあった気がする」
　と翔は端末で調べ、その図と説明文を見せる。それをマジマジとみていた３人と清掃員だったが、玲音がパスワードとして出された３つの番号と『セフィロトの木』を見比べ、目を見開く。
「多分、これ！　やっちゃえ！！」
「「あっ」」
　玲音が選んだのは『1022』である。翔はリットを手早く操作してサニィを護衛し、万が一トラップがないか調査する。その間にサニィはてきぱきと数字を打ち込んだ。
　同時に、ピロン、と電子音がし、『設定は中止されました』とアナウンスが聞こえる。どうやら、解除されたらしい。
「うまくいった……のか？」
　翔が呟くと、清掃員らしき大人が速やかに連れ出し、そのまま会場内に溶け込めるよう仕草で「ちょっとまっててね」とほほ笑んだ。
（そういうことか）
　翔は雪人と玲音と共に軽食ブースへと進む。そして、そうしながら翔が感心したように口元を綻ばせた。
「前半分の10は、『セフィロトの木』にあった丸の数。そして22というのは……」
「丸同士をつなぐ線の数！　それを数えてたら閃いちゃった！」
　玲音が小さな声で、弾むように答える。雪人は「お手柄だ！」と二人に小さく微笑んだ。

　11：25　AM　ミッションクリア。

一見何事もない様にありながら、ユグドラシルの目論見は、潰えたのだった。

エピローグ

　――11：３０　AM：スタッフルーム

「てめぇ、最初からこれが目的か」
　赤いスーツの男は、目の前のチヒロを睨みつける。彼のスマートフォンに映し出されているのは、３人のスタッフからのメールだった。

　パスワード、ロスト

　ただ一言で彼は全てを悟っていたのだ。
　足元に散らばるのは、一角獣を模したギアと、竜のギアの翼。赤いスーツの男は、サングラスの奥で目を細め、チヒロを見やる。
「裏切ったのはお前か？」
「……さぁ、どうでしょう？」
　肩を竦めるチヒロは、スーツの皺を正すと壊れたギアをポケットに入れて背を向けた。

　すべての騒動を収めた６人は、少し離れた所で清掃員と対峙していた。
　彼は翔たちに今回の件に関わっていた子供たちを集めさせていたのだ。

「これは、もう子供たちだけでは手に負えないのかもしれない。子供心を忘れない大人の力が、どうしても必要だな」
　そう言って帽子をとる清掃員。だが、その顔に見覚えのあった者たちは目を見開く。
「CAPGEAR MEIJIN！？」
「まさかこんなところで会うなんてねぇ」
　龍樹と瑠樹が声をあげると、CAPGEAR MEIJIN（以下メイジンと表記）はこくり、と頷いた。
「今回の一件で実感した。あまりにも事態は大きすぎる。
　この戦いは、子どもと大人が手を組んで挑まなければならない……。そのためにも、今後も力を貸してほしい」
　メイジンの言葉に、子どもたちは……。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

カプギアマスターのみなさん！　大変おまたせして申し訳ありません。
第六話を担当させていただきました。菊華です。

今回は、このようなカプギア第六話と相成りました。いかがでしょうか？
結果は、リアクションをご覧ください。

そして、突然のメイジン登場に驚かれたかと思いますが、次回（第七話）からは「小学生・中学生のみ」という条件が排除されすべてのギアマスターに参加権が与えられます。遊びとカプギアを愛するすべてのギアマスターの皆さん、運命を自分たちでつかみ取ってみませんか？

それではこのあたりで。
縁がありましたらよろしくお願いします。
菊華　伴

今回の称号：サイレントエージェント

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