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汚れたウェディングドレスのような、灰色の空から雨が降る。
小糠雨。
霧吹きされているようなぬるい雨だった。
フェンスにもたれ、
市橋 誉
は空を見上げていた。
寝子島高校の屋上だ。他に誰の姿もない。
昼休みなのだが食欲はなく、かといって教室で楽譜を繰る気にもなれず、ただなんとなくこの場所にたどりついている。
濡れた前髪が額にへばりつく。払いのける気にもならない。
――雨に濡れたい気分になった。
なんて言ったら、格好よさげだけども。
本当は不安に押しつぶされそうで、逃げてきた先がたまたまここだったというのに近いのだと思う。
不安のひとつが、将来の夢であることは間違いない。
がむしゃらに弾いて弾いて弾き倒して、いつかジャズピアニストになれる日が来るのだろうか。
ただ、その夢にたどりつくための努力は怠っていないし、迷走はあっても進んでいるという手応えはあった。
それよりも、と拳を握りしめる。
『悪いが忘れてくれ』
と彼女は言った。
そのときの表情が忘れられない。
――忘れてくれといわれて、はいそうですかと忘れられるものか!
胸が苦しくなる。本当にそうできたらどんなにか楽だろう。
誉にははっきりとわかっている。
彼女への気持ち、それが恋なのだと。
こんなに苦しいのであれば、ツライのであれば。出逢わなければよかった。
少なくとも、胸の内を明かさなければよかった、と考える。
黙っていれば今でも、彼女との曖昧な関係は続いたはずだ。
「本当に――?」
ぽつりと言葉が口から漏れた。
黙ったままでいたら、彼女の事情を知らずにすんだはずだ。
おそらくそうだろう。
しかし明かしたからこそ、彼女の心に触れることができた。
なら、どちらが良かったのか。
「あ……」
と先に言ったのはどちらだっただろう。
誉だっただろうか。
それとも彼女だっただろうか。
幻覚を見たのかと誉は疑った。それほどに突然だった。
黒い傘を手に正面のドアを開けたのは彼女――
詠 寛美
その人だった。
一秒、二秒、三秒。
永劫とも思える沈黙が流れた。誉と寛美は、向かい合ったままだ。
先に口を開けたのは寛美だった。
「な、なんだよ、いたのか」
あからさまに視線を外し、それでも逃げずに傘をさした。可愛さのかけらもない黒い傘、骨のひとつが折れておりプラプラしている。
「おめーも弁当か? こんな天気にこんな場所で……物好きだな」
そう言う自分はどうなのか、ということにまで考えが至らぬ様子で、ビニール袋を提げたまま寛美は手近なコンクリートブロックに腰を下ろした。ちょうどひさしがあって、雨を避けられる位置だった。
がさがさと彼女が取り出したのは新聞紙の包みだ。解くと、プラスチックケースの弁当箱が出てきた。弁当箱というより、タッパーというほうが正確かもしれないが。
鶏の笹身を茹でたものがたくさん、それに漬け物と、チンしただけ風の冷凍野菜、あとは全部白米だ。仕切りもなにもなくただ詰めただけのようなランチだった。
寛美はきまり悪そうに誉を見やって、視線を落とすと割り箸を取り出して笹身をつまんだ。割り箸を割る音は聞こえなかった。どうやら洗って再利用しているらしい。
そこでようやく、
「……久しぶりだな」
と寛美は言った。他に言うべきことを思いつかなかったから、というような調子で。
「ああ」
誉は目を細めた。こんなに素っ気なくされているというのに、寛美を見ると嬉しさがこみあげてくる。
「隣、いいか?」
彼女の横に移る。寛美は返事しなかったが、少しだけ動いて場所を空けた。
話題に困ったのか寛美は、
「いつ以来だったかな」
と口にした。そしてすぐに、しまった、というように視線をそらす。
「一緒のボートに乗ったとき以来だ」
「そんなことあったかなァ」
語尾に力がない。寛美だって、十分すぎるくらい意識しているのだ。
「あったよ。俺は、覚えてる」
短く息を吸って、誉は続けたのである。
「あのとき言ったことも。詠から聞いたことも覚えてる」
寛美はうつむいたままだ。誉はさらに言う。
「あのとき詠は言った。忘れてくれ、と。でも俺は……俺は悪いけど、絶対に忘れてやらない。絶対にだ」
「よせよ、つまらない冗談は」
と言う寛美自身が、冗談だとは思っていないことくらい誉にもわかる。だから聞き流すことにする。
「俺は、詠のことを考えると笑顔になるんだ。詠の顔とか、声とか、交わした言葉とか思うと、心に灯がともる」
「は、恥ずかしいこと言うな……!」
「俺ってそんなに恥ずかしいか?」
「ばか、俺がだ……!」
消え入りそうな声で告げると、寛美はぐるっと移動して背を向ける格好となる。
丸め気味の彼女の背中に、腕を回したいという衝動とあらがいながら誉は言った。
「いますぐ返事がほしいわけじゃない。だけどひとつだけ頼みたい」
寛美はもごもごと何か言った。不明瞭だったが、「何を?」と言ったように聞こえた。
「俺はこの気持ちを手放したくない。忘れられるわけがない。だからもう……『忘れてくれ』なんて言わないでくれ」
「……しろ」
「すまん、なんて言った?」
「
勝手にしろ、って言ったんだ!
」
誉は顔をほころばせた。
この感じだ――ぶっきら棒で乱暴だけど、寛美らしいこの返事。
この感じ、ようやくまた会えた気がする。
「お前、本当によくわかんねーヤツだ……ったく、半分も食ってねーのに腹一杯になっちまったじゃねーかよ……」
ブツブツ言いながら寛美は顔を上げた。
隠しようがないくらい紅潮していた。下唇まで噛んでいるじゃないか。
とてつもなく可愛い、と誉は思ったが、それを口にしたらきっと彼女はキレるから黙っておく。かわりにこう告げた。
「……すまない。詠に負担をかけるつもりじゃなかった。ただ、俺の考えも聞いてほしくて」
「別に悪いって言ってねーよ。もう食ったし帰るからな、俺は」
寛美は弁当箱を新聞でくるみ直している。うまくくるめないらしい。かすかに手が震えていた。
「どんな結果になっても、俺は後悔しない。……いや、勿論、詠とそういう関係になりたくないと言ったら嘘になるけど……あー何言っているか混乱してきた!」
知らん知らん、と寛美は肩を怒らせ傘を手にした。
追いかけるように誉はその背に問う。
「詠、昼時に屋上ってよく来るのか?」
「別に。まあ、なんとなく水曜金曜はここに来ることが多い……! い、いや、だからここに来ておけって意味じゃねえからな! 待ち伏せしてたら、コロス!」
「わかった。じゃあ俺はあとから行くようにする。待っててくれ」
「そ……そういう意味じゃねえ!」
もう知らん! と問答にならぬことを寛美は言うが、いつもの元気が戻ってきたのだとむしろ誉は喜ばしくとらえた。
じゃあな、と彼女が振り返ったその瞬間をとらえて、誉はにこりと笑って告げた。
「大好きだ、詠。それだけ知っていてほしい」
「……!」
呼吸困難になったような顔をして、脱兎のように寛美は姿を消した。
でも誉は理解していた。
つぎの水曜日、寛美はきっと、屋上に来ているだろうと。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
21人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年09月16日
参加申し込みの期限
2018年09月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年09月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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