仲良くなりたい、その６｜リアクション

仲良くなりたい、その６

○ウォルター・B

　倉前七瀬は、活字中毒といえるくらいの読書好きです。
　先日も本をたくさん買いましたが、困ったことがありました。
　買った本の中に洋書が混ざっていたのです。
　活字中毒とはいえ英語までは読めません。
　そこでウォルター・ブラックウッド先生の顔が浮かんだのでした。
「えーと、これ全部は付き合えないよぉ？」
　職員室で本をめくりながら首を傾けるウォルター先生に、七瀬は言いました。
「いや、もちろん全部じゃなくてよかとです。さわりくらいは読んでみたいんで、冒頭の訳し方教えてもらえますか」
「うん、わかったよぉ」
　七瀬を隣に座らせ、ウォルター先生の個人講義が始まりました。
「まず文節を区切って訳していくよぉ。IN THE YEAR 1878　で、１８７８年。私は取った、degree、えーとこれはDoctor of Medicine がついてるから大学の博士号のことだねぇ……医学博士号」
「なるほど……」
　相槌を打ちながら七瀬は先生の説明に聞き入ります。
（先生と過ごせるんやったら洋書も悪くなかですね）
　そんなことを思うのでした。