【星幽塔】第三階層　トウモロコシ畑のお化けトウモロコシ｜リアクション

【星幽塔】第三階層　トウモロコシ畑のお化けトウモロコシ

トウモロコシ畑に到着した月詠は畑内をうろつくお化けトウモロコシの姿を確認した。
「擬態してるかと思ったけど」
　どうやら炙りだす手間は省けたようだ。
「ん？」
　畑の近くに大きな蜘蛛の巣が張られていて、何匹かのトウモロコシが捕らえられていた。
「……ん？」
折り重なってもがくトウモロコシ達は非常に気持ち悪い。
「これがお化けトウモロコシ」
目がギョロギョロと動き、手足をバタバタとさせている。誰かが仕掛けた罠にかかったのだろう。それでも畑にはまだまだいるようだ。
「ふむ」
　指でその粒々の体をつついてみる。
「ぎゃうっ」
「鳴くのか、トウモロコシ」
　さらにつんつんしてみると、ギョロっとした目が潤みだした。どうやら、体をつつかれるのが弱点らしい。
「興味深い」
　しかし、戦闘で勝つにはあまり使えないかもしれない。つんつんするタイミングが思いつかない。
と、その時。
「そこのあんた、まだお化けトウモロコシはかなり残ってるんだ、悪いが後は頼む！」
　暗闇の向こうで声がして、農場の敷地外へかけていく二つの影が。豪とまもるのようだ。彼らの後を追っていくのは数匹のお化けトウモロコシである。
「この仕掛けはあの二人か……わかった、任せてくれ」
　さて、気を引かないことには戦闘エリアまで誘き出せない。
　月詠はスケッチブックを開いた。ろっこん、絵空事を使い、トウモロコシとの間に引力を発生させる。
　引力に気づいたらしいトウモロコシがギョロりとした目を月詠へと向けてきた。
「さぁ、こっちだ」
　距離はあるが囲まれたり追い付かれたりしたくない。月詠はトウモロコシを言葉で挑発しながら、農場の敷地の外へ向けて駆け出した。

　
桜はトウモロコシ畑についてすぐ、畑内を動き回るお化けトウモロコシの姿を確認した。と、同時に畑の方から走ってきた月詠に声をかけられた。
「君もトウモロコシ退治か？　まだ畑にたくさんいる。頼む」
　月詠はそれだけ言って農場の外へと飛び出していった。数匹のトウモロコシ達を引き連れて。
「まずは敷地の外へ」
　桜はすぐにクロスボウを取り出した。体勢を低くして、
「お化けトウモロコシ！　ここまで来てみなさい！」
　そう叫んだ。
　数匹のトウモロコシがギョロりとした目を向けてきた。桜は正面に立たないよう、横へ飛んで、クロスボウの矢を放つ。もちろん、当てるのではなく、地面へ。
「次は当てるわよ！」
　桜のその言葉に激昂したらしいトウモロコシが畑の外へと足を踏み出した。
「怖いなら出てこなくて良いのよ？　狙い撃ちにしてあげるからっ」
　

　修は隠れていた木の陰で畑の様子を伺っていた。リアに頼まれたらしい退治人達が何人か、農場の外へトウモロコシを連れて行ったが、まだ何匹か残っている。
　クロスボウの矢で挑発し始めた桜の様子を見ていた修は飛び出した。
「おおい、後は任せろ！」
　その声に気づいた桜は頷いて、
「お願い！」
　数匹のトウモロコシを連れ、農場の敷地外へと駆けていった。　
　修はまだ残っていたトウモロコシ達へ向け、駆け出した。あえて正面からだ。
　トウモロコシが回転を始めた。次々に粒が飛んでくる。
　靴に魔火の光を宿らせ、ジェット噴射。上へ跳ぶ。地面に着地し、水鉄砲の攻撃も急激に方向を変えながらジグザグに移動する。
「着いてこいっ」
　攻撃が当たらず、トウモロコシはイラついている。農場の敷地へ誘導するチャンスだ。

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