『うさぎ屋』でお好み焼き食べよう！｜リアクション

『うさぎ屋』でお好み焼き食べよう！

●待ちきれず

　羽生碧南は今日もバスケ部の活動で汗を流していた。練習を終えてシャワーを浴びてさっぱりしたら更衣室で制服に着替える。その最中にどこからともなく、お好み焼きの、ソースの焦げる香ばしい匂いが漂ってきた。

（お好み焼きかぁ……寮に帰ったら作ろうかな……）

　そんなことを思いながら着替えを続ける。しかし美味しい匂いはその間もずっと碧南の食欲を刺激している。

（もうだめだ。寮へ帰るまで我慢なんかできない！）

　碧南は制服に着替え終えると、駆け足で飛び出した。香りに誘われるがまま、はやる気持ちを抑えて歩くこと十数分。たどり着いたのはお好み焼きの店・『うさぎ屋』。
　早速店に入ると空いているカウンター席を発見。そこへ一直線で向かおうと歩き出した、そのときだった。

「碧南ちゃーん！」

　自分の名前を呼ばれて、思わず声のほうを見るとテーブル席に座る野々ののこが手を振っていた。どうやら七夜あおいと一緒にお好み焼きを食べに来たらしい。

「ののこちゃんにあおいちゃんも来てたんだ！」
「うん！　こっちきて一緒に食べよう！」
「わかった！」

　碧南は進路を変えて、ののこたちと合流した。メニューを見てミックス玉と寝子島サイダーを注文。頼んだものが届くまで３人で色々なことを話した。間近に迫った海開き、学校のプール開き、七夕まつり等々。
　そうこうする間にミックス玉の生地が来たので早速材料をよくかき混ぜてから鉄板に広げる。

（そろそろ頃合かな）

　碧南はヘラを持ってひっくり返そうと構えると、自分の手元を見るののこの視線に気づく。これはいいところを見せなくては、と集中する。

「そりゃ！」

　威勢のいい掛け声とともにお好み焼きが宙に浮いた。そして反対側を下にして見事に鉄板に着地した。碧南は、我ながらうまくいったと得意げな表情を浮かべている。
　焼きあがったら、上からソース、青のり、鰹節、マヨネーズをかける。一口食べると美味しさが口のなかに広がる。

「もう最高！　何も言うことなし！」

　それから美味しくできたお好み焼きを食べながら、楽しい会話に花を咲かせた。

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