- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【星幽塔】第七階層 そうだ、祭りに行こう
●
桜もまた見よう見真似でダンスに参加することにした。
（せっかく動き易い衣装になっているわけだものね……。ちょっと男性の視線が気になるけど……）
基本的に三桁年齢でも若い見た目の人が多い星幽塔の中ではあるが、やはり現役ＪＫには独特のオーラが発生するようで。
ちらちら、と踊りの合間に剥き出しになったお腹や、若くて張りのある臀部に視線を感じることもある。
だが、踊りに集中しているうちに、気にならなくなってくる。
自然と身体が踊り出すような不思議な踊りであるが、やっているうちにもっと上手く踊りたいという欲求が生じてくるのだ。
（あっちの女の人、めちゃくちゃ精霊が一緒に踊ってる……。なんだか負けたくない……）
その女の人とは、半分踊り子のようなティオレその人であったが、桜はとにかく負けず嫌いなのだ。
結果、かなりガチで踊り――後半で、息切れした。
「……ちょっと（？）疲れちゃったかな」
しかし、だいぶ精霊をサポートにつけて満足した桜は、それから踊りの輪の中から離脱し、再びエネルギー補給に屋台へと向かうのだった。
●
月詠は、踊りには参加せずに、すぐそばに腰掛けて絵筆をとっていた。
「ふむ。精霊と踊る、神へ祈りを捧げる神事、か。なかなか絵になるじゃないか」
一枚描きあげたスケッチを少し離して確認し、納得の表情を浮かべる月詠。
「お、誰かと思えば、旅鴉じゃないか。君は踊らないのか？」
と、そこに現われたのは修だった。
「やあ、八神。奇遇だね、というべきかな？ 踊りも興味はあるが、私はこちらの方が性に合ってるからね」
月詠は自身のスケッチを視線でしめしつつ、肩をすくめるようにして言う。
ここで素描した絵は、一階層に持ち帰り、完成して店に飾るつもりだった。良い店のインテリアになるだろう。
「あいかわらず上手いな。いい絵になりそうだ」
「ありがとう。ところで、君こそ、踊らないのかな？」
そう言って、月詠は踊る人々の方に視線を流す。
「ああ。俺も踊りたいのは山々なんだけど、一寸用事があってさ」
修は微苦笑し、その用事とやらに去っていった。
その用事の内容は、月詠にはなんとなく推察できた。
実際、月詠もただ祭りに遊びに来ただけではなく、いくつかの『収穫』があった。
「アブラカタフィッシュといい、星の力が回復するコーヒー豆といい、良い土産もできた」
ぽつり、と呟いて月詠が視線を流したのは、なんでも食べるというアブラカタフィッシュを飼うことができる専用の鉢。
かなりぼったくられたが、いざというときは『焼いて食えないこともない』との店主弁だったので、食材・ゴミ処理・研究などの様々な用途を考えれば元は取れるだろう。
「こうしてぼんやりと踊る者達を眺めているのも悪くはないし、ね」
口の端に小さな笑みを浮かべ、月詠は束の間、広場に響くメロディに耳を傾けた。
●
その頃、修は、踊りなどそっちのけで、自らの知的好奇心を満足させるために、調査・取材の真っ最中であった。
「なるほど！ あのゆったりとしたメロディには神の荒ぶる心を静めるという意味もあったんですね！」
また一つ謎が解けた、とでもいうふうに、修はぱぁっと表情を明るくする。新しい知識や経験を吸収・習得するとき、彼はいつになく楽しそうだ。
「いやー、冒険者って言うと、勉強なんて嫌いなやつが多いかと思ってたんだが、兄さんは熱心だなぁ」
感心したように言うのは、先程から修に突撃取材をうけている祭りの関係者だった。
神職、というよりは、神事を運営する従業員に近いのだという。
レオーネに雇われ、祭事の進行・管理を行っているというだけあって、祭りにもあれこれと詳しかった。
「ほかにもまだまだ聞きたいことがあるんです。たとえば、何故、ここの民族衣装はあんなデザインなのかとか、そもそも神はどういう存在なのかとか」
ここで、修はもっとも興味があった核心に近い部分に踏み込んだ。
が、その踏み込みはなかば期待はずれに終わる。
「あー。悪いが、俺は神様にはあんまり詳しくないんだ。偉い人ってイメージはあるが、昔からここを見守ってくれていた存在、ぐらいの知識しかないねぇ」
「……そうですか」
それに、修は少しだけガッカリする。
てきぱきと進行・管理をこなすこの男性は、あくまでもイベントスタッフのチーフとでも言うべき存在のようだ。
「役に立てなくて悪いなぁ」
「いえ、勉強になりした。いや、ほかにもまだまだ聞きたいことがあるんです。もっと教えてください！」
「おお！ 俺にわかることなら何でも聞いてくれよ！」
バシンと胸を叩く男の顔はとても頼もしかった。
かくして、修の知的探求はまだまだ続くことになる。
桜もまた見よう見真似でダンスに参加することにした。
（せっかく動き易い衣装になっているわけだものね……。ちょっと男性の視線が気になるけど……）
基本的に三桁年齢でも若い見た目の人が多い星幽塔の中ではあるが、やはり現役ＪＫには独特のオーラが発生するようで。
ちらちら、と踊りの合間に剥き出しになったお腹や、若くて張りのある臀部に視線を感じることもある。
だが、踊りに集中しているうちに、気にならなくなってくる。
自然と身体が踊り出すような不思議な踊りであるが、やっているうちにもっと上手く踊りたいという欲求が生じてくるのだ。
（あっちの女の人、めちゃくちゃ精霊が一緒に踊ってる……。なんだか負けたくない……）
その女の人とは、半分踊り子のようなティオレその人であったが、桜はとにかく負けず嫌いなのだ。
結果、かなりガチで踊り――後半で、息切れした。
「……ちょっと（？）疲れちゃったかな」
しかし、だいぶ精霊をサポートにつけて満足した桜は、それから踊りの輪の中から離脱し、再びエネルギー補給に屋台へと向かうのだった。
●
月詠は、踊りには参加せずに、すぐそばに腰掛けて絵筆をとっていた。
「ふむ。精霊と踊る、神へ祈りを捧げる神事、か。なかなか絵になるじゃないか」
一枚描きあげたスケッチを少し離して確認し、納得の表情を浮かべる月詠。
「お、誰かと思えば、旅鴉じゃないか。君は踊らないのか？」
と、そこに現われたのは修だった。
「やあ、八神。奇遇だね、というべきかな？ 踊りも興味はあるが、私はこちらの方が性に合ってるからね」
月詠は自身のスケッチを視線でしめしつつ、肩をすくめるようにして言う。
ここで素描した絵は、一階層に持ち帰り、完成して店に飾るつもりだった。良い店のインテリアになるだろう。
「あいかわらず上手いな。いい絵になりそうだ」
「ありがとう。ところで、君こそ、踊らないのかな？」
そう言って、月詠は踊る人々の方に視線を流す。
「ああ。俺も踊りたいのは山々なんだけど、一寸用事があってさ」
修は微苦笑し、その用事とやらに去っていった。
その用事の内容は、月詠にはなんとなく推察できた。
実際、月詠もただ祭りに遊びに来ただけではなく、いくつかの『収穫』があった。
「アブラカタフィッシュといい、星の力が回復するコーヒー豆といい、良い土産もできた」
ぽつり、と呟いて月詠が視線を流したのは、なんでも食べるというアブラカタフィッシュを飼うことができる専用の鉢。
かなりぼったくられたが、いざというときは『焼いて食えないこともない』との店主弁だったので、食材・ゴミ処理・研究などの様々な用途を考えれば元は取れるだろう。
「こうしてぼんやりと踊る者達を眺めているのも悪くはないし、ね」
口の端に小さな笑みを浮かべ、月詠は束の間、広場に響くメロディに耳を傾けた。
●
その頃、修は、踊りなどそっちのけで、自らの知的好奇心を満足させるために、調査・取材の真っ最中であった。
「なるほど！ あのゆったりとしたメロディには神の荒ぶる心を静めるという意味もあったんですね！」
また一つ謎が解けた、とでもいうふうに、修はぱぁっと表情を明るくする。新しい知識や経験を吸収・習得するとき、彼はいつになく楽しそうだ。
「いやー、冒険者って言うと、勉強なんて嫌いなやつが多いかと思ってたんだが、兄さんは熱心だなぁ」
感心したように言うのは、先程から修に突撃取材をうけている祭りの関係者だった。
神職、というよりは、神事を運営する従業員に近いのだという。
レオーネに雇われ、祭事の進行・管理を行っているというだけあって、祭りにもあれこれと詳しかった。
「ほかにもまだまだ聞きたいことがあるんです。たとえば、何故、ここの民族衣装はあんなデザインなのかとか、そもそも神はどういう存在なのかとか」
ここで、修はもっとも興味があった核心に近い部分に踏み込んだ。
が、その踏み込みはなかば期待はずれに終わる。
「あー。悪いが、俺は神様にはあんまり詳しくないんだ。偉い人ってイメージはあるが、昔からここを見守ってくれていた存在、ぐらいの知識しかないねぇ」
「……そうですか」
それに、修は少しだけガッカリする。
てきぱきと進行・管理をこなすこの男性は、あくまでもイベントスタッフのチーフとでも言うべき存在のようだ。
「役に立てなくて悪いなぁ」
「いえ、勉強になりした。いや、ほかにもまだまだ聞きたいことがあるんです。もっと教えてください！」
「おお！ 俺にわかることなら何でも聞いてくれよ！」
バシンと胸を叩く男の顔はとても頼もしかった。
かくして、修の知的探求はまだまだ続くことになる。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2018年08月24日
- 参加申し込みの期限
-
- 2018年08月31日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2018年08月31日 11時00分
