屋根模様になにを見るか｜リアクション

屋根模様になにを見るか

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　まるで彼（アケーチ・タッマーキ）が諦める事無く来るのが分かっていたのか、白き物はふわふわと今にも舞い上がる動きで、それでもそれ以上逃げる事なくとある屋根の中央に在った。
　紫玉を細め歩み寄れば、お待たせしましたと優しく声をかけながらようやくその衣類に分類されるであろう白き物を手にするアケーチ。
　しかして感触が掌から脳へと到達した途端、穏やかな声色に恍惚とした色が混ざる。

「……これは　良　い　パ　ン　ツ　……！」

　そんな台詞が、晴天背負った紳士の口から高らかに発せられた。
　アケーチが掴まえた純白の羽は、透ける一歩手前な程に薄く繊細なシルクとレースで形作られた、一見シンプルだが触れればそれがどれ程に上等な代物か分かる程のおパンティであったのだ。
　失くされた方はさぞや困るでしょう……！　と至れば、持ち主様へとお返しすべく身体を反転させる。
　はたと、その足が屋根の上を踏み出して止まった。

「あぁ、良い眺めですね……！」

　星幽塔では上空から街並みを見渡したことはあれど。
　屋根からの景色、というのは空からとは違った角度や趣を感じ取れば、眼前に映る海や家々を抱くように両手を広げる。
　漆黒の髪が風になびいて、心地よさそうに爽快感に浸るアケーチ。
　しかし忘れてはならない。
　屋根の上で、片手におパンティを持って仁王立ち。
　それはいつまた紺色制服ダンディと逃避行する羽目になってもおかしくない、そんな姿だということを　――

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