コスプレと風変わりな試練｜リアクション

コスプレと風変わりな試練

「この服、バニーガールだね。こんなの着るの初めてだけど、やっぱり可愛いね！　……まぁ、結構際どいけどそれは仕方ないよね」

　それは正しくバニーガールの衣装である。
　黒いウサ耳に胸元がギリギリまで開かれている黒のレオタードは重量感あるバストを持つ白真白が着ればただ凶悪の一言である。下半身部分では脚はやはり網タイツになっており、ハイレグのカットはかなり際どい。
　真白がバニーガールとなった自らを見る為に身体を捻る度に頭の上のウサギ耳が揺れる。

「で、ここはカジノか。まぁ、バニーガールって言ったらやっぱりカジノだよね」

　そう。真白の言葉通り、現在彼女がいるのはカジノであるようだ。あの不思議な声が言っていた事を考えると、現実にはないこの為だけに創られた虚構のカジノの可能性が高いだろう。
　カジノでバニーガールとなれば何をすれば良いかは一目瞭然と言えると真白は思った。つまりはカジノのディーラー的をすれば良いのだろうと。

「よーし、私のカード捌き見せてあげるよ」

　カジノにはルーレットやスロットと言った物もあるが、その中で真白が選んだのはカードだった。カジノと言えばカードだろうと真白は考えているからだ。
　しかし、そこで誰に対してやれば良いのだろうと不思議に思うと、次の瞬間、全てのステージは整えられる。
　カードの為のテーブル。周囲に沢山の人、テーブルに座っている人。そして、真白の手元にはカード。

「なるほど。オッケーだよ、神様」

　不敵な笑みを浮かべて手元にあるカードをシャッフルする真白。
　ディールシャッフル、ヒンドゥーシャッフル、リフルシャッフル、ファローシャッフルと幾つものシャッフルを披露する真白。

　数々の中でもリフルシャッフルはカードが傷みやすい為に普段は行わないのだが、今回は神様に魅せる為に特別に行っていた。
　年若い少女である真白がマジシャン如きシャッフルを披露する度に、ざわつく観客。その業に驚くと同時にシャッフルを行う度に揺れる胸に注目がいっていたりもするのだが、しかし、それを彼女は敢えて放置する。

（さて、今回はポーカーだね）

　言わずと知れたカードゲームの中でも特に有名なゲームだ。
　このポーカーに限らずカジノのディーラーで重要なのは場を支配するという事である。

　とは言っても、全てを完璧にコントロールするという意味ではない。正確さと公平さを持ち、全てプレイヤーの条件を平等にするという事だ。
　そして、それをより細やかに行うにはカード自体のコントロールも時には必要とされるだろう。しかし、ここで不正を疑われてはいけない。それ故に細工等はせずに行える技術こそが重要となる。

　その点で言えば、真白のカードを操る技術は十分に一流と言える域にあるだろう。
　ただ、自分が望むようにカードを切るだけではない。デッキを持つ時、ディール――カードをプレイヤーに配る時にもそれは発揮される。

　更に真白が場をコントロールするに当って用いているのはそれだけではない。バニーガールという恰好。そして、それによって強調される自らの肢体を彼女は熟知していた。
　カードを操るのは一瞬。その一瞬、自らの身体の動きによって周囲にいる全ての人間の視線を誘導していた。自らの胸に対する注目を敢えて放置するのもこの為だ。

（うん、良い感じにいけてるね）

　最初のカード回しも悪くはないと真白は感じていた。
　真白はディーラーとしてプレイヤー達にもそれなりに勝たせ、しかし、全体で見ればこちらが少しプラスになるように動く。
　何故、真白がこんなことを出来るかと言えば漫画を読んでいて面白そうだったので練習したからだ。とは言えども、普段の友達とのゲームでは発揮する事はない。

「さぁ、どうされますか？」

　穏やかな笑みを浮かべて真白はプレイヤーにベッドをするかどうか尋ねる。
　それは正しく支配者の笑みだ。真白は最後の最後までそのスタンスを貫き、場を支配し続けた。

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