【星幽塔】第六階層　雲氷を探して｜リアクション

【星幽塔】第六階層　雲氷を探して

　リリエルとメリィがフワフワエナガに導かれたのは、修たちから少し離れた洞穴だった。
「フワフワエナガさん、ここ？」
　宝石のように雲氷を見て、リリエルが歓声をあげる。
「道中いろいろありましたけど無事雲氷を発見です！」
「きらきらしてる……雲氷、このままでも美味しそうだよねえ～……」
　メリィの口からよだれが垂れた。
「それじゃメリィちゃん、一緒に食べましょう♪　シロップも持ってきてるからよかったらどうぞ」
　カラフルな色のシロップを雲氷にかける。
　メリィが待ちかねてスプーンを掴んだ。
「リリエル用意いいね～！　うん！　一緒に食べよー！！　一緒に食べるともっとおいしいし！　えへへ～、いっただっきまーす！」　
「いっただきまーす！」　
　二人は一緒にスプーンを口に運んだ。
「おいしー！」
「この景色を見ながら食べる雲氷は最高ですね」
　リリエルの言うとおり、眼下に広がる景色や雲はここでしか見られないような美しさだった。
「次回はお土産にもってかえれるように、魔水の光の力できてみましょうか♪」
「うん！　持ち帰って、みんなにも食べさせてあげたいなー！」
　頷くメリィだった。
　
　フワフワエナガを追ってきたアリスと桜は、ほぼ同時に洞穴にたどり着いた。
「雲氷美味しそう！」
「かき氷を作ろう！」
　二人は声を上げ、
「シロップとスプーン持ってきたよ！」
　アリスが鞄からシロップとスプーンを取り出した。
「かかなくても、ふわふわで柔らかい……」
　雪のような雲氷を器に移す。
「ふわふわエナガが食べてるところは邪魔しないようにちょっと離れた場所にしよう」
　アリスの言葉に、桜は場所を移すことにした。
「シロップはメロンだよね。イチゴも好きだけど、私はメロンの方がもっと好き」
　桜の言葉に、アリスは言う。
「寝子島にはいろんなシロップがあるんだってね。今度試してみたいな」
　二人は雲氷を口に運んだ。
「「おいしい！」」
　声を揃えて、二匙目をすくった。
「シロップをかけるのもいいけど、でもそのままで食べても……」
　桜の言葉にアリスも頷き。
「これまたおいしいのでくせになりそう！」
　スプーンが止まらなくなる桜。　

「やっと見つけた……」
　疲れた顔の亮と、元気なルークが洞穴に足を踏み入れた。
「な、ちゃんと見つかったろ？　勇者の心得その１００、諦めなければ夢は叶う！」
　フワフワエナガを見つけたのに、ルークは新しい道や洞窟を見つけるとすぐに道草を食いたがり、フワフワエナガを見失わないよう追いかけるのがかなり大変だったのだ。
「だって、案内されるままついてくだけなんて冒険とは言えないだろう？」
　さんざん亮を振り回しておいてドヤ顔のルーク。
「見つける前に雲氷が溶けるかと思った」
　そう言いつつ亮も、無事見つけてみれば達成感で胸が満たされるのを感じていた。
「勇者の心得その６、美味いものは美味いうちに食え！　亮、シロップを出してくれよ」
　ルークは言うが。
「最初は何もかけない。それからコーヒーやシロップをかけて味の違いを楽しむか」
　亮はそのままの雲氷を口にして、頷く。
「思ったとおり甘い。普通のシロップより苦みや酸味の強いものの方が合うな」
　そう言ってレモンシロップやコーヒーをかけてみた。
「美味い！」
　疲れた体に、冷たく甘酸っぱい雲氷が沁み渡るようだった。
　

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