Father's Day がやってくる｜リアクション

Father's Day がやってくる

○東京甘味処ツアー

　真境名アリサは、仕事に休みを入れて東京に来ていました。
　父親のイーサンがアメリカから仕事で来日中なので、父の日の今日再会することにしたのです。
　待ち合わせ場所は父の宿泊先である羽田空港近くのホテルのロビー。
　ロビーに父の姿が見えました。
「やっほー、パパ」
「アリサ！」
　早速駆け寄ってハグをする二人は、年の離れた恋人同士にも見えましたが、やはり目元が似ていました。
「今日は父の日だから、プレゼントを用意してるのよ」
「それは嬉しいな、アリサ」　
「東京でいくつかおいしいスイーツの店を見つけたでしょう？　でもそこは男一人で行くには相当勇気がいる」
「その通りだ」
「だから、今日一日付き合ってあげる。和洋中問わず、東京甘味処ツアーよ」
「素晴らしい！」
　二人のデート……いや甘味処ツアーの始まりです。
　ガールズバーの仕事をしているとスタイルは崩せませんが、摂取したカロリーは後で帳尻をしっかり合わせるつもりです。
「それじゃ、まずはここのカフェだ。パンケーキもエッグタルトも絶品なんだ」
　席についてメニューを吟味し、注文を終えた後、唐突に父は尋ねました。
「ところでアリサ、こないだのシアトルでのことなんだが」
「……なんのことかしら？」
　先日例によって神魂の影響で、突然アリサはシアトルのパパの元に現れ、３０分たったら日本に戻っていました。
　しかしこの現象を納得してもらえるよう説明できる気がしません。
「……なんのっておまえ、突然現れたと思ったら突然消えちまって」
「あ、パパ、仕事のことなんだけどね……いろいろあったけど、なんとか副店長頑張ってるわ。この間もね……」
　結局アリサは、適当に誤魔化すことにしたのでした。
「ほらパパ、エッグタルトが来たわよ！」

　エッグタルトを堪能して次の店へ。限られた時間とお腹のスペースと相談しながら、フォトジェニックなスイーツの店や日本ならではの和スイーツ、などなど巡って。
　楽しい時間はあっという間に過ぎました。
「美味しかったー」
「さすがにもう食えないな」
　お腹をさすりながら二人は笑いあい。
「それじゃ、またね」
「元気でな」
　二人は、またの再会を誓いながら別れたのでした。

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：茄子りんこ
ファンレターはマスターページから！

ご参加ありがとうございました。
いただいた様々な父と子（一部父でない場合も）の形のアクションに、心暖まったりちょっと切なかったり楽しませていただきました。
直接生んでいないだけに、父と子の関係は母子以上にデリケートで尊いものであるかもしれません。

それでは、またご縁がありましたらお会いしましょう。

↑ページトップに戻る