寝子島でお金を稼ごう！｜リアクション

寝子島でお金を稼ごう！

☆２９９コーヒー

「いらっしゃいませー」
（スマイルは0円！）
　レントは笑顔で接客していた。
　大人数のの子高生のお客に声をかける。
「えーっと注文は～っと……」
「たくさんあるけどいい？」
　女子高生に笑顔で答えるレント。
「暗記は得意なほうです、お任せください」
「それじゃいくね。ラテアートにベイクドチーズケーキ人数分スムージー……」
　しかし早口でまくし立てられ、さすがに引き気味に言葉を挟む。
「あ、でももうちょっとゆっくりハッキリ喋っていただけるとありがたいかもです。ええ！」
　どうにか注文をとることができた。

「いらっしゃいませ。何名様……あっ、ルーク、フォルカ？」
　笑顔で元気良く尋ねたアリスは、入ってきたお客の姿に目を丸くした。
　ほしびとの友達ルーク・ポーラスターと、いつものキツネ顔が人間になっているが雰囲気はそのままの、フォルカ・ヴィクスンが現れたのだ。
（来てくれたの？　嬉しい！）
　そのまま喜びを伝えそうになったけれど。
（でも仕事中だから言葉遣いは丁寧に）
　と思いなおす。
「いらっしゃいませ。こちらの席へどうぞ」
　満面の笑顔でテキパキそつなく接客する。
「ほしびとが働いてるって聞いて来てみたぜー、困ってないかと思って。ビール１つ！」
　そんなことを言うルークに、アリスはつい素になってしまう。
「ビールは置いてないからね。それはＢａｒアストラルで頼んでね」
「なかなかいい店じゃん。このラテアートって何？」
　帽子で耳を隠したフォルカも言う。
「ラテアートはコーヒーの上にミルクで絵を描くんだよ。おススメだよ。私はまだ簡単な物しか描けないけどマスターは上手だよっ」
　アリスはそう言うと、笑顔で付け加えた。
「ご一緒にベイクドチーズケーキはいかがですか？」
「商売上手だねえ。じゃ、ラテアートとそのケーキをもらおう」
「はーい。ゆっくりしていってね」
　アリスはフォルカたちにウインクして、二人だけに聞こえる声でそう言った。

　忙しい営業時間が終了した。
「おつかれさま。大変だったでしょう、ありがとう」
　ねぎらう店長に向かってアリスは元気に笑う。
「当面の目標はラテアートを習得すること、かな。また宜しくお願いします！」
　そしてアリスは、ベイクドチーズケーキを買った。
（味見させてもらったけど美味しかったから、お世話になってるメイにあげよう）

　　
　こうして、それぞれのバイトは良い成果をあげることができた。
　寝子島でのお金にも余裕ができ、異世界への理解も深まったことだろう。

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