寝子島でお金を稼ごう！｜リアクション

寝子島でお金を稼ごう！

☆デッサンモデル・アケーチ

「ほしびとに理解のある先生も気になりますし、成功させて私を含め他のほしびとさんも働きやすくしたいですね、ふふ……！」　
　普段からアーティストとして芸術活動に勤しんでいるアケーチ・タッマーキは、スーツ姿で木天蓼大学を訪れた。
「明智です。よろしくお願いします」
　ロマンスグレーの上品な教授に挨拶する。
「耳や羽は出してもいいよ」
　教授はそう言ってくれたがアケーチの羽根は寝子島に来ると消える。
「ああ、なんと優しいお言葉……寝子島に来ても種族の特徴が残る方もいるのですね……！」
　色んな違いがあるのだな、と思いつつ。
「ふ、ふふ。只の人と変わらぬ私ですが……！！　モデルとして精一杯ポージングを取らせていただきます……！！」
　喜びを隠せないまま口走る。
「まずは脱げばよいですか？　残念ながら羽根はお見せできないのですが、それ以外のモノでしたら何なりと……」
　いそいそとスーツを脱ぎだすアケーチ。
　妖艶な美形のアケーチに、女子学生たちは視線を釘付けにしている。
　だがアケーチの手を、教授は優しく止めた。
「あ、着衣ですか。どんな服を着ましょうか、メイド服ですか？　どんなミニスカでも着こなしてみせましょう、ふ、ふふ……！！」
　アケーチの言葉をそばで聞いていた学生たちの幾人かはドン引きしたが、教授の眼鏡がキラーンと輝いた。
「少し待っていなさい」
　そう学生たちに告げ、アケーチの手を引き控え室へ向かう。

　１０分後、教室に戻ってきたアケーチを見て学生たちはざわめいた。
「ふふ……似合っていますでしょうか」
　そこには美しくメイクを決めたミニスカメイドが立っていたのだ。
「ポーズのご希望は？　……はい、これでよろしいですか？」
　言葉は慎み、求められるがままにポーズや表情を作る。
　だが。真剣な表情の内側では。
（あぁ、皆様の視線が私に……！　快・感ですっ……！）
　思い切りトキメいているド変態なアケーチだった。
（服を着ていても、すべてを見られている気分です。むしろ着衣だからこそのエロス！　言葉はなく体は触れ合わなくとも、魂が魂と向き合う……！　ふ、ふふ……！！　これが芸術ですね！　もっと私を見つめてください！）　

「お疲れ様でした」
　モデルを終えた後、アケーチはやりきった笑みを浮かべた。
　学生たちのスケッチブックには、様々なタッチの自分の姿が描かれていた。
「素晴らしい……私をこのように美しく……眼福です。ありがとうございます」
　メイクを落とし着替えを終えたアケーチは教授に囁いた。
「私のような者でよろしければ、ぜひぜひまたモデルをさせてくださいませ……！」
　教授は黙って頷き、次回の予定を決めてくれた。　

このページにイラストを設定する