いきなり人類滅亡！　文明再興できるかな｜リアクション

いきなり人類滅亡！　文明再興できるかな

◆宇宙船は黙して語らず

「不知火の奴、また面倒なことに巻き込みやがったな」

　新田亮は周囲を見渡すと、こう呟いて首を振った。しかし、不知火ゆかりへの不満を言ったところで、状況が変わるわけでもない。

「まぁいい。とにかく今は島の探索をしよう」

　亮は瓦礫を掻き分け、使えそうな物がないか探し始める。何もなければ次へ、次へ、そうして民家の跡地から缶詰や布、刃物などを見つけると、リュックに放り込む。
　どのくらい歩いただろうか、誰ともすれ違わずに、星ヶ丘があったはずの、白い瓦礫の山まで来た亮は、そのど真ん中にある、大きなそれに首を傾げる。

「あれは宇宙船？　良く分からないが入ってみるか」

　そう言って中へと入ると、そこは野生動物の住処になっていた。亮は襲ってきたそれらの動物を倒しながら、中を探索する。そうして最奥部につくと、一息ついた。

「何だ？」

　ちらりと人影らしきものが見えて、亮はそちらに視線を移す。よく見てみると、それは人間大のロボットのようだ。

「これは体に装着するタイプのものか？」

　亮はそのロボットが動かないことを確認すると調べ出した。すると、背中に何か紙切れが入っていることがわかる。

「説明書もあるな。どれどれ」

　彼は紙切れを取り出し、読み始めた。紙にはこう書いてある。

『本製品は高い防御性と筋力補正が付いたパワースーツです。戦場における最高のパフォーマンスを保証いたします。搭載している装備は以下の通りです。

レーザー銃：両手の掌からレーザーを放つ。
小型ミサイル：体中から小型のミサイルを放つ
ジェット：背中に飛行機のような翼があり、短時間飛べる。
　　　　　またその場から素早く移動する事にも使える。
レーダー：頭についており、敵の位置や建物の構造が分かる』

　亮はそれを読み終えると、早速スーツを着て、動かし始めた。

「大分操作に慣れてきたな。次にコイツの性能テストをしよう」

　数分後、操作に慣れた亮は思いっきり戦える場所は無いか考え出した。と、そこで、変電所のことを思い出す。

「そういえば変電所の防衛システムがやたら強固だったな。もしかすると、あそこに何かを隠してるかもしれない」

　彼は立ち上がり、宇宙船を出ると、

「試しに行ってみるか」

　と言い、変電所の方へと歩き出した。

「人類が滅亡したのなら、生き残った我々は人類以外の何かなのかねー」
『案外、そうかもしれませんよ。貴方は自分が人間であることを証明できますか？』
「いいや、無理だ」

　旅鴉月詠は、白亜の名残を押し上げながら、ゆかりの茶々に応えていた。

「ちなみに、ラジオの質問に答えるならば」

　彼女は飲み水やその代わりが無いか探しつつ、続ける。

「人類も自然の一部なのでその創造物も自然に還るだけの事。良し悪しは知らない」
『なるほど。一理ありますね』
「人間が管理してた時よりもっと悪くなってるかもしれないから、原理主義も考えものだよ、と」

　そうしているうちに、月詠は宇宙船を発見し、中へと入っていく。動物も人影も見えず、しんと静まり返ったそれはどこか不気味だ。

「よし、これを拠点にする」
『いいんですか？』
「動かないにしても、朽ちた建物よりマシなのは明白だろう」

　と言って、彼女は外の景色を見た。ボロボロの建物はいつ崩れるかわからない。そう考えて、月詠はバッグを置く。

『まぁ、私には関係ないですけど』
「なら構わないね」

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