「こ、ここは……?」
ひゅうひゅうと風の通る音を聞き、
エレノア・エインズワースは目を覚ました。足元には草原がどこまでも広がっており、人間の姿はどこにも見当たらない。視界の隅に朽ちた建物と脱線して倒れ、蔓草に覆われている寝子電の車両が見える。
「なんですか……?」
先程まで学校にいたはずなのに、とエレノアが考えたその時、彼女の前に少女の映像が現れた。どこかから映し出されたその少女は、奇抜な恰好と髪色をしている。
「人類亡き世の生物の皆さーん? 元気にしてますかー、平和にやってますかー? 管理AIの不知火ゆかりでーす!」
まったく、と、ゆかりは呆れたように呟いた。
「ラジオ番組で『人類が居なくなったら世界はどうなりますか?』なんて聞かれたからって、こんな手の込んだことしなくていいと思うんですけど……ヒマなんですかね?」
ゆかりは手を叩くと、続ける。
「おっと! もう人類は滅亡してるんですから、このセリフは不適切ですね。AIによくあるバグだと思っていただければー……」
「ツッコミどころ多すぎません?」
エレノアの冷静な言葉に対し、ゆかりはあざとくポーズを決めてえへっ☆と誤魔化している。どうやらどこまでもAI設定を貫き通すつもりのようだ。それで、と言ってゆかりはどこかからビデオカメラを取り出した。
「いきなりですが記録のお時間です。ですが大丈夫、皆さんはいつも通り過ごしていただいて構いません」
ここまで説明して、ゆかりはにっこりと笑う。
「とにかく! 我々AIは何も干渉しませんから……満喫してください、大自然を!」
ゆかりの胡散臭い笑顔から視線を逸らし、エレノアは再び辺りを見回した。見慣れていたはずの風景はすっかり様変わりし、朽ちた建物の隙間からは野生化した動物の姿が見える。星ヶ丘の方には宇宙船だろうか、何かの残骸があるように思えた。
「さて、どうしましょうか」
お世話になっております。六原紀伊です。
ガイドに登場してくださったエレノア・エインズワース様、ありがとうございました。
もしご参加されるようでしたら、自由にアクションを書いていただければと思います。
今回、PC情報はシナリオガイド中で書かれたもののみとなっています。
以下書かれているものは全て、PL情報です。
概要
皆さんはいきなり人類滅亡後の地球に来てしまいました。
滅亡後の地球は平和で穏やかな気候で、見渡す限りの大草原が広がり、あちこちには文明の名残である崩れた建物が乱立しています。
参加PCと管理AI以外、人間らしき姿は見えません。
<アクションの一例>
・滅亡後の世界を探検する
人類滅亡後の寝子島には、見慣れた風景が形を残しているところがあります。
寝子高はどうなってるかな? 自分の家はまだあるだろうか? など、確かめてみてください。
・友達とサバイバル生活を楽しむ
安全な家や便利なお店などはありません。自力で食料や寝る場所を確保する必要があります。
野生化した危険な動物などもいるかもしれません。仲間と協力し合って、生きのびてください。
・管理AIに反抗してみる
管理AIはどうやら、寝子島変電所跡地にあるスーパーコンピュータにインストールされているようです。
管理されるのはごめんだ! という方は、コンピュータを破壊しに行くのも良いでしょう。
ただし、強固な防衛システムに守られているので、近づくのは容易ではありません。
・宇宙人と交信を試みる
・地球から脱出してみる
星ヶ丘地区跡地のど真ん中に、壊れた大きな宇宙船が墜落しています。
内部を調べてみれば、地球外生命体と交信するための通信装置などが見つかるかもしれません。
あるいは、何とかして宇宙船を修理することができれば、地球の外へ脱出することもできるかも。
などなど。挙げた項目はあくまで一例なので、自由に書いてみてください。
本シナリオはSRSNの用意した撮影用の仮想空間での出来事になりますが、参加PCの皆さまは本物の寝子島での出来事だと思わされています。
ですので、シナリオ終了後PCの皆さまはすぐ日常に戻ることが出来ます。本シナリオで受けた傷等はシナリオ後完治するようになっています。
また、後日報酬としてSRSNからちょっと贅沢できるくらいのお金とお礼の品物が送られます。
◆SRSN
最近MewTubeに独自のチャンネルを作り活動し始めた謎の組織です。
コンセプトは『いつも心にエンターテインメント』
従業員は殆どが謎の黒服男です。
◆不知火ゆかり
奇抜な恰好と個性的な服装が特徴の少女。SRSNに雇われているらしい。
今回は滅亡前の人類が作り出し、今は宇宙人に利用されている管理AI……という設定で司会を行う。
撮影と、茶々を入れる以上のことはしない。