【星幽塔】第十一階層　黄金の林檎を巡る物語｜リアクション

【星幽塔】第十一階層　黄金の林檎を巡る物語

急：あとはゴールを目指すだけ！　１番だーれだ！？

＜トップが変わった！！　最初のトップ集団、森の木々から洗礼を受けたのか？！　林檎を手にしたのは朝比奈灯選手！　その後を追うのはティオレ・ユリウェイス選手と白真白選手だあぁぁ！＞

（出遅れた！！）
　林檎が実っている木がある筈の方角へ向かっていた恵御納夏朝は、実況で我に返り、遠くに聞こえた足音が、既に３人がそこを通り過ぎた事を知らせる。
「まだ終わっていないんです！」
「そう、だね。行こう」
　リリエル・エーテライトが金の髪を靡かせ走り出せば、夏朝も桃白猫に指示を出し旋回し林檎を持つ灯へと迫る。だが、そこを熊並みに大きい狐が襲い掛かろうとしていた。
「危ないっ！」
　夏朝がろっこん『重く軽く』を使うよりも早く、リリエルが魔風の力を発動させてモンスターをひるませる。
「今のうちに」
　リリエルに促され、夏朝は礼を述べて走り出した。
　灯は林檎を大事に抱きしめ、時折来るティオレの手を器用に逃れていた。
（すばしっこい。森の中で決着が奪うことが出来ればいいのだけれど……）
　ティオレが顔を上げれば、もう森の出口である。彼女の目の前で、灯が弾丸のように雪原へと躍り出た……その時！！
「うわぁ！」
　灯が、雪原に沈もうとしていた。原因は、真白が魔星の力を使い、彼の足元に生やした蔦の輪っかだった。
（チャンス！）
　一瞬出遅れたティオレを追い抜き、真白はスピードを上げる。
「その林檎、もらうね！」
「ちっ……」
　灯は林檎を抱きしめたまま転がり、勢いに乗って立ち上がる。そのまま走り続ける彼に、真白は魔星の力で召喚した大きな葉っぱに乗り、雪原を滑る。同時に、力を流し込むイメージをし、ろっこん『鋼の如く』を発動させて硬化。スノーボードの要領で葉を操り、シュプールを描く真白は、突っ走る灯へと迫る。
「逃がしませんっ！」
　だが、その声の主は真白ではない。雪に溶け込みそうな白い翼を羽ばたかせるリリエル・エーテライトである。その後ろには桃白猫を駆る恵御納夏朝、森から追いかけて来た氷の精霊を爪で払いながら走るメリィ・ランページの姿が。
「がるるるー！　おしおきのてっけんせーさい、だー！」
「お願い、通り過ぎるまで待ってて！」
　夏朝もろっこん『重く軽く』の進化能力でねこさんシールを飛ばし、氷の精霊の身体を重くして逃走する。メリィの爪と夏朝のろっこんによりモンスターたちは逃げかえる。
　その間に、林檎を抱えた灯は村へ向かって一直線だ。
（このまま、突っ走れば……）
　村のゴールが見えて来た事に目を見開いた灯だが、陽光にきらめく金の一閃が、その林檎を掠めようとした。狐娘、フォルカ・ヴィクスンである。
「あと少しだったのにっ」
「こっちにもいるぜ！」
　次に襲い掛かってきたのは、ルーク・ポーラスターだった。森から必死に追っていた甲斐あり、灯にたどり着いたのである。
「うわっ！？　危ない！！」
「油断しないで！」
　再び真白が蔦で応戦しようとするが、灯は跳ねて避ける。だが、着地がまずかった！！　姿勢を崩した途端、その腕から金の林檎がこぼれ出る。
（しまった！）
「「もらった！」」
　夏朝とティオレが転がる林檎へと手を伸ばす。桃白猫に指示を出し急降下する夏朝と、しなやかな跳躍を見せるティオレ。２人の手に林檎が触れた刹那、それは無常にも滑り落ちる。
（チャンス！）
　跳ねるメリィが林檎をキャッチし、木に飛び移ろうとするが樹氷に阻まれ体制を崩す。またもこぼれる林檎。それを受け取ったのは、白い羽のリリエル。
「リリエル！」
「はわわっ？！　これってチャンスですか？！」
　　がんばリリエルですっ！　と気合を入れて飛ぶリリエル。目の前にはゴールが迫り、一直線に向かおうとする。が、またも落ちる雪！！
「きゃああっ！」
　驚き、うっかり林檎を落とせばそこを狙ったフィクスと、うっかり転んだルークの手を掠める林檎。真白はすかさず魔星の力で呼んだ蔦を鞭のように撓らせゲット！！

このページにイラストを設定する