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想いは巡る
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シーサイドタウンのアパートから
アケーチ・タッマーキ
がふらりと現れた。黒いスーツを着込み、ある種の熱病に侵されているかのように足取りは重い。
歩きながら四方に顔を向けた。前髪に隠れていない、紫の左目が潤み始める。
「……ああ、描きたい!」
切望する想いを口にした。胸の中央に掌を押し当てる。紫紺のネクタイとシャツを一緒に握り締めた。
その姿で道をゆく。切ない表情を人々に差し向ける。車道を挟んだ歩道では老爺に手を繋がれた女児が歩いていた。
アケーチは両腕で頭を抱え、即座に仰け反った。
――穏やかな幸せを具現化したような美に私の創作意欲が抑えられません!
その姿で小刻みに震える。左目は別の人物を捉えた。
ファーストフードの店から大柄な男性が現れた。発達した大胸筋がTシャツの上からも見て取れる。二の腕は太い。穿いているジーパンは破裂しそうな程に膨らんでいた。
――素晴らしい筋肉美! 力強い一歩で揺れる筋肉は見ているだけで酔ってしまいそうです!
アケーチは頭を抱えたまま、ゆらゆらと揺れ出した。
――私の感性がビンビンなのです!
弓なりの限界で一気に背を丸めた。勢いで数歩、前によろけた。掌を顔に当てて荒い息を吐く。指の隙間から覗く左目がぎらついていた。
「ああ、狂おしい程の高ぶりに、この私が、壊れてしまいそうです……ふふ!」
口角が急激に切れ上がる。大笑いしそうな顔で先に膝が笑い出した。側のガードレールに腰掛けて項垂れる。
――噴き出す激しい感情を制御しなければ、私はあの時と同じ、
無慈悲な天使
に……。
「ふ……ふはは……」
平常時とは異なる、笑い声が口から漏れた。
星ヶ丘のマンションの自室に
岡瀬 結華
の姿があった。椅子に座って机に向かっている。開いたノートには何も書かれていなかった。赤茶けた目でぼんやりと眺めている。
――友達は進路について考えているのよね。二年だから当たり前なんだけど……。
結華は手を伸ばした。取り出した参考書をパラパラと捲って息を吐いた。前に軽く投げ出す。
――私は将来、何になりたいんだろう。
沈んだ目は窓へと向かう。明るい光が救いになったのか。速やかに椅子から立ち上がる。
部屋着を脱ぎ捨ててノースリーブワンピースに着替えた。水色のストライプは今日の空の色とよく似ていた。
爽やかな風となって部屋を飛び出していった。
結華は早足で歩いた。自らの力で風を起こす。長い黒髪が後方に靡く。
瞬間、目を見開いた。ガードレールに項垂れて座っている人物がいた。黒いスーツを着ていた。見た目は若々しい。それだけに緊急の事態を想像させた。
結華は緊張した面持ちで駆け寄った。
「あの、大丈夫ですか?」
声を掛けられた人物、アケーチは顔を上げた。結華の思い詰めたような表情に微笑んで答える。
「激しい衝動に見舞われていただけです。余計な心配をお掛けしまして申し訳ありません」
「本当に何もないのですか?」
「お嬢様の優しい心が私を癒してくれました。女神の奇跡に立ち会えたことを光栄に思います、ふふ…!」
「……反応に困りますよ」
控え目な笑みで結華は返した。アケーチは立ち上がって一礼した。
「自己紹介が遅れました。私は明智と言います。あーちゃん、明智さん、自由にお呼び下さい」
「では、明智さんで。私は岡瀬結華と言います」
ぺこりと頭を下げた。
アケーチは左手を自身の腹部に当てた。右手を後ろに回して恭しく頭を下げる。
「結華お嬢様ですね。女神に相応しい神々しい響きに私の心が打ち震えています」
「名前だけでいいです。恥ずかしいじゃないですか」
白い頬にほんのりと野薔薇が咲いていた。
「畏まりました。親しみを込めて結華さんと呼ばせていただきます、ふふふ…!」
「私も気が楽です」
「早速ですが結華さんにお願いしたいことがあります。よろしいでしょうか」
アケーチは直立の姿勢で言った。
「私にできることですか?」
「結華さんにしか、できないことになります。私は絵描きをしていまして、そのモデルになっていただきたいと心から願っております。いかがでしょうか」
「私の絵、ですか」
心配そうな声にアケーチはすぐさま反応した。スーツの中に深々と手を入れる。何かを上空に解き放つような格好でスケッチブックを取り出した。
「このような絵を好んで描きます。ご覧ください」
「手品みたいですね」
結華はスケッチブックを受け取った。最初から順に見ていく。
「明智さんの絵は写実的ですね。老人から子供まで。とても範囲が広いです」
「抽象画も描きますが人物画は特に好みですね、ふふ!」
「絵だけで人柄が伝わってくるようです」
感心した様子で頁を捲る。
肩が少し上がった。結華は開いた頁に顔を近づける。
画用紙には白くて丸い物体が描かれていた。一対の羽を生やし、身体の一部には紫色のハートマークがあった。
結華は次の頁に移った。手早く目にしてスケッチブックを閉じた。
「絵を描いて貰っても、いいですか」
「願ってもないことです。心を込めて描かせていただきます、ふふふ…!」
スケッチブックを受け取るとその場で開いた。スーツの胸ポケットに入れていたペンを手に取る。
「場所は、ここでいいのですか」
「自然体が素敵です、ふふ!」
言いながらアケーチは画用紙にペンを走らせる。結華は少し戸惑うような表情となった。
「私は少し大人びていて、冷たい感じはしないですか?」
「芯の強さはあると思います。孤高の花は美しい。年相応の迷いや弱さもあるでしょう。ふいに見せる笑みには無邪気な一面が窺えました。とても感情が豊かで素敵な女性だと思いますよ、ふふふ…!」
朗々と語りながら精密な筆致で描いていく。
結華は吹いてくる風に顔を向けた。頬には野薔薇が咲き誇り、すっと目を細めた。
「今日の風は気持ちいいですね」
「結華さんのようにとても爽やかです」
ペンは勢いに乗った。伸び伸びとした輪郭を描いていく。
結華は口を開いた。
「明智さんはどうして絵描きになろうと思ったのですか」
「色々と理由を挙げることはできますが、絵を描くのが好きだからでしょうか。好きなものを全力で追い掛ける喜びは、そうですね。とても説明が難しいです、ふふ!」
「好きだから、ですか」
結華は納得した表情を浮かべた。
間もなく絵は完成を迎えた。アケーチはスケッチブックから丁寧に切り離して相手に渡した。
「気に入っていただければ、私は白い羽を生やして大空を飛翔する喜びを味わうことでしょう。もちろん、比喩的な意味ですが、ふふ…!」
「これが私」
結華は完成した絵を魅入る。
風に吹かれる女性が笑顔で描かれていた。
「とても嬉しそう。もやもやした様子がなくて、今にも走り出しそうな感じがします」
「気に入っていただけたようで私は無上の喜びを感じています、ふふふ!」
「本当にありがとうございました! この絵は大切にします」
結華は大きく頭を下げた。笑顔となって別れの言葉を口にすると来た道を足早に戻っていった。
アケーチは溌剌とした姿を見送る。
「別れ際の笑顔、私の絵を越えていましたよ。結華さん、またどこかでお会いしましょう、ふふふ…!」
軽くなった足取りでアケーチは歩き始める。
心の欲するままに――。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
一芸に秀でた人達の一日が無事に終わりました。
今回は寝子島全体がステージになりました。指定した場所が偶然に一致して、
即興のコラボが実現する等、起伏に富んでいました。
公園では子供達のヒロインが誕生! 私は頭の中で西部劇のガンマンを想像しながら書きました。
鉄棒のシーンでは体操の選手を取り入れて華やかさに力を注ぎました。
最後は怪しいお兄さんと悩める女子高生のハートフル物語を目指しました。
二人の個性がお互いの魅力を際立たせて、相応しい最後へと導いてくれました。
私はゆったりとした気分で、じっくりと書かせていただきました。
シェフのような気分でした。皆さんのお口には合いましたでしょうか。
最後に本シナリオにご参加いただき、ありがとうございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月13日
参加申し込みの期限
2018年06月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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