日曜日の早朝、
アイオ・キャンドライトは寝子ヶ浜海岸を訪れた。頭部の猫耳はカチューシャと言わんばかりに隠さず、ヘッドフォンを装着していた。服装は個性的で和服とエプロンドレスを融合して目に鮮やかに映る。
「時間が惜しいのですわ」
落ち着いた色合いの海を背景に踊りながら歌い始める。愛用のハンディカメラは猫鳴館の部屋に置いてきた。
今日の主な目的は本番を想定した練習にあった。踊りながらも笑顔を保ち、伸びやかな声を持続する。足場として不安定な砂浜は理想の鍛錬の場となった。
「ま、まだまだ、ですわ」
笑顔に疲労が滲み出る。動きが緩慢となり、歌声が微妙に揺れた。
限界を超えた。アイオは砂浜に両膝を突いた。正座の姿で荒れた息を整える。
「もっと頑張らないと、ダメなのですわ」
破れそうな程、薄青い空に向かって想いを吐露した。もどかしいという風な表情となる。
「……何か、心が燃え上がるような、島の人達と一体になれるような……そんなライブ感が欲しいのですわ!」
その切実な声は独り言の範囲を超えた。熱い想いは
ほしびと達の心に届いて影響を及ぼす。
寝子島で早朝の散歩を気ままに楽しんでいた
ティオレ・ユリウェイスは足を止めた。
「何か、したい気分ね」
ティオレは自身の持ち物に目を向ける。刃渡り五センチ程度の玩具のダガーナイフを手に取った。
「四本あるわ。ジャグリングに使えるわね。切れ味は悪いけど、的当てにも使えるかも」
薄い笑みでティオレは歩き出した。青い目は周囲を窺う。適した場所を探すのだった。
星幽塔の第一階層、サジタリオ城下町は活気に満ち溢れていた。石畳の大通りを荷馬車や行商人が行き交う。
大勢の客を見込んだ大きな店舗には獣人や神獣、形容し難い者達が押し掛けて陽気な声を上げている。早々と酒盛りが始まっていた。
通りを歩いていた
アリス・ミーティアが横目をやる。喉が上下に動いた。
「お酒、いいですね!」
休日が後押しして満面の笑みになる。
店舗に踏み出そうとした姿で固まった。考え事をするような顔付きとなる。
「射撃なら自信があるわ」
くるりと向きを変える。寝子島に繋がる扉へと急いだ。
「私の銃の腕前で盛り上げるわよ」
スカートの中に隠したホルダーから瞬時に銃を取り出し、くるくると指で回して素早く戻す。手慣れた早業に気付く者はいなかった。
いつもの寝子島とは少し異なる、華やかな一日が始まろうとしていた。
今回のシナリオは神魂絡みで起きました。個人の能力ではないので一度だけの奇跡と思ってください!
ガイドに登場して頂きました、
アイオ・キャンドライトさん、ティオレ・ユリウェイスさん、アリス・ミーティアさん、ありがとうございました。
本シナリオに参加を希望された場合、個性に溢れたアクションを自由にお書きください。
早速ではありますが、詳しい内容の説明に入りたいと思います。
∞§∞ 今回の舞台 ∞§∞
晴天に恵まれた休日の寝子島。
∞§∞ 神魂の影響 ∞§∞
今回に限り、一人のPCの想いがほしびとの心に働き掛けて一芸の行動を起こさせる。
あまり活動的ではないほしびとであっても、神魂の影響によって行動を起こし易い状態になっている。
島内であれば、ほとんどの場所で一芸を行なえる。危険な行為(線路、車道)に対しては抑止力が働く。
説明は以上になります。
今回のシナリオでは一人の想いが神魂と合わさって、ほしびとさん達に一芸の行動を起こさせます。
人やもれいびに影響はありませんが、熱い芸に魅せられて飛び入りで参加する力技(ひと、もれいび)も、
もちろんオッケーなのです! ほしびとさんに誘われて一芸を披露してもいいですよね(GA推奨)。
皆で華やかな一日にしちゃいましょう(ご参加、お待ちしております)!