this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
グッドキャット・シティのある事件簿
<< もどる
1
…
11
12
13
14
15
つぎへ >>
【演者たち】
お手をどうぞ、とジョヴァンニは言った。田舎娘のツェルリーナにはもはやジョヴァンニしか見えていない。しかしエルヴィーラは未だ彼の心根を改めるという試みを諦めてはいなかったのだ。彼女に諭され、ツェルリーナはジョヴァンニから逃れて愛するマゼットの元へと急ぐ。一匹だけ残されたジョヴァンニは肩を落とし、今日のツキの悪さを嘆くのだった。
「素敵……」
オサム・ヤガミは、ほうと吐息を漏らす彼女の横顔を物言わぬまま眺めた。眼下の舞台で繰り広げられる絢爛な歌劇よりも、それを見て瞳を輝かせるアオイ・ナナヤの表情たるや、なんと新鮮で刺激的なことだろう。
歌劇場の中心たる舞台の真正面、かつてはそこで観劇することが皇族の特権であったという中央ボックス席に、二匹の姿はあった。
「ふふ。どうして今日は、ここに誘ってくれたの? ねえ、弁護士先生」
茶目っ気を覗かせて、アオイは悪戯っぽく尋ねる。ごく普遍的な中流階級の娘に過ぎない自分がこの場にあることを、彼女は夢現に感じているのかもしれない。
無論オサムがアオイをここへ連れてきたのは何ら打算があってのことではなく、ひとえに恋人を喜ばせたいがためだ。街の名家として知られるヤガミ家がもたらす潤沢な財産や、積極的に国選弁護人を引き受け弱者保護に身を投じてきた、弁護士としての彼の名声には関係がない。故に彼は稀代のメスねこたらしドン・ジョヴァンニもかくやといったまばゆいウィンクと共に、言ってのけるのだ。
「素晴らしい感動を大切な相手と分かち合いたいと願うのは、当然のことさ」
「もう。口が上手いんだから」
くすぐったそうに笑う彼女の頬へ唇を寄せ、彼は席を立つ。
第一幕も終盤を迎え、エルヴィーラとアンナに扮する美貌のメスねこが仮面に怒りを隠し、ジョヴァンニを告発せんと実を潜めている頃合いだ。
「すまない、アオイ。ちょっと仕事の電話が。席を外すよ」
「すぐに戻ってきてね?」
手を振るアオイには、疑いの色など微塵も無い。彼女は無垢なのだ。
探偵が彼の事務所を訪ねてきたのは、数日前のことだ。
「忙しそうで何よりだよ、先生」
「あなたもね、ビリー」
その日オサムが弁護を請け負うことを決めたのは、殺猫の容疑者だった。それもマフィアお抱えの殺し屋だ。犯罪の片棒を担ぐようなつもりは毛頭無かったものの、その境遇には一抹の憐憫を禁じ得なかったのと、ビリー・ハワードのたっての嘆願も後押しとなった。
「スミスさんの罪は、どの程度になるのです?」
その場にはオサムの友人であり情報源でもある、グッドキャット・シティ・ジャーナルの記者ミサキ・ツバキの姿もあった。彼女の問いに、オサムは肩をすくめる。
「情状酌量の余地はある。彼はボスの有無を言わせぬ圧力と命令に逆らえず、流されるまま犯行を重ねてしまった……という線で攻めるさ。禁錮20年といったところは免れまいが」
「事実その通りだったようだ。彼は凄腕だが、望んで身に着けた技巧じゃあない。この街の夜を後ろ盾も無い若者が一匹で生きるには、往々にして選択肢は限られるものだ」
探偵はなぜ、彼の境遇を慮るのだろう。歌姫殺猫事件のあらましは明らかとなり、依頼人の望みは果たされた。仕事は終わったはずだ。
ビリーはオサムの視線にその意図を悟ったか、ニボシ煙草を吹かしながら答えた。
「彼女ならそう望むだろうからね。おれはアフターケアにも手を抜かない主義なんだ」
「でも、事件は解決しましたけど……黒幕には届かないんですねぇ」
ため息とともに漏らしたミサキの言葉に、オサムは口の端をわずかに上げる。
事件は解決しても、根本は何も変わらない。この街はそういう風にできているのだ。明日もまた違法なマタタビ粉は血液のようにグッドキャット・シティを巡り、売人は暗躍し、警察上層部は人知れずドラッグ・パーティーに興じるだろう。
だからこそオサムのようなねこが、この街には必要なのだ。
二階ボックス席の裏を行く。舞台ではレポレッロの振りをしたジョヴァンニがマゼットの前に現れ、彼をひどく打ち据えている。倒れ伏したマゼットへツェルリーナが語る慰めの言葉を聞きながら、オサムは右端のボックス席の扉を音もなく開いた。
エディ・ウォッシュバーンは舞台を見もせずに、愛人であろうメスのヒマラヤンと絡み合うのに夢中だった。傍らには二匹の黒服が控えているが、見て見ぬ振りをして舞台へ目線を向けている。オサムはまず、黒服二匹の心臓を背中から撃ち抜いた。消音器は22口径弾の発射音を容易く歌声へ紛れるほどに抑え、発砲の衝撃がスライドを押し下げるカチリという音だけがかすかに響く。
もちろんウォッシュバーンが気づかぬはずもなかったが、彼がはっとした表情を浮かべた直後にオサムはその眉間へ銃口を突き付け、静かに引き金を引いた。後はヒマラヤンがオサムの顔を見る前に首の後ろへ当て身を食わせ、眠らせる。これで舞台に幕が下りるまでは静かな観劇が堪能できるだろう。
始末人としての一連の手順を終えれば、拳銃を手早く分解してアタッシュケースにしまい込み、アオイの元へ戻るだけだ。
(因果応報。この街では珍しくないことさ。誰にとってもね)
素知らぬ顔で席へと戻り、アオイの頬へ口を寄せる。折しも舞台ではドン・ジョヴァンニが悔恨を迫られるもそれを拒絶し、地獄へと落ちるまさにその時を、演者の名演が締めくくるところであった。
後日。開店前のバー『セクシーキャッツ』にて、アヤカ・アヤツジの発案によるごくしめやかな集まりが催された。
事件に関わり命を落とした者たち……ルシア・マーロン。ココロ・コサカエ。マドゥカ・ニャリィアス。彼女らへアリサ・マジキナがカクテルグラスを掲げると、アヤカにケイ・ハヤカワ、カーサ・エミニャール、ビリー・ハワードがそれに倣う。リョウ・ニッタ、
トワ・E・ライトフェロゥ
もウーロン茶で同じ動作を模した。
ライム・クドウも興味本位ながらこの集まりに訪れて、杯を掲げた。コウ・キサラギは誰にも背を向け、ただ一匹で飲んでいた。仮面をかぶったリサの姿までもそこにあるのは意外だったが、彼女は一枚のカードを残して早々に去っていった。『運命の輪』だった。
その日、シャーリー・ハドソンが姿を見せることはついに無かった。別れ際の言葉を、ビリーはニボシ煙草の煙の向こうに思い出す。ルシアの故郷を訪ね、その家族へ彼女の歌声がいかにねこたちを惹き付け癒したか、短い猫生をいかに太く華々しく駆け抜けたか、語って聞かせるつもりだと言っていた。
言葉の無い宴席は、日が変わるまで続いた。
<< もどる
1
…
11
12
13
14
15
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
グッドキャット・シティのある事件簿
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月03日
参加申し込みの期限
2018年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!