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グッドキャット・シティのある事件簿
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【真実】
受け取った箱を肉球の上で弄びながら、アーロン・スミスはコウとビリーを興味深そうに眺めて言った。
「あんたも運がいい。生きてたとはね、探偵さん」
「何。缶切りナシでねこまんマグロを開けるよりゃ、簡単なことさ」
このオスは何を思い、この場にいるのだろう。ビリーは彼の表情を伺うが、達観したような瞳に何かしらの色は見られない。それはそうだ。
容易く感情が揺らぐようでは、誰かを拳銃で撃ち抜くことなどできはすまい。
「ま、間に合いました……!」
アヤカ・アヤツジとケイ・ハヤカワが顔を見せる頃には、空はすっかり白んでいた。
荒い息を整えつつ、アヤカは傍らのケイへ、そしてビリーへ微笑む。新米探偵は彼女なりの持ち味と機転、信念でここまでたどり着いて見せたのだ。
コウはMIKEクーパーのボンネットに腰かけ、ニボシ煙草に火をつける。そして不意に言った。
「アーロンさん。良けりゃあだが、そいつを開けてみちゃくれねぇか? そいつを届けるに当たっては、こっちもちょっとしたトラブルを被ってな。危険手当くらいは支払ってくれてもいいだろう」
「……スタイルズか。ウォッシュバーンの野郎、俺ひとりに押し付けておきながら、まるで信用されてなかったってわけかい」
毒づきながらもアーロンは包みを破き、中から現れた滑らかな質感の細長い箱を開いた。
朝日を金と銀に照り返す、それは腕時計だった。ニャレックスの最高級品。一介のバーテンダーには手の届かない品物だろう。
アーロンの表情がその時初めて揺らぐのを、ビリーは見落とさなかった。
「ルシア。バカなメスねこだ。俺の誕生日を覚えてたんだな。本当に、バカな……」
「アーロンさん。話してもらえませんか? あの夜、何があったのか」
アヤカが一歩踏み出し、全てを代弁した。
真実を明かす時だ。
「あたし、夢があるのよ」
「夢?」
まだ彼らが故郷の田舎町で安穏と暮らしていた頃だ。ある時、ルシアはアーロンへそう言った。
「あたし、歌手になる。大きなステージに立って、たくさんの客の前で、あたしは歌うの! どう? あたし、やれるかしら……?」
「ああ。そうだな。お前ならきっとやれるさ」
ルシアは夢を求めてグッドキャット・シティへ上京し、アーロンは地元で言及するまでもないチンケな仕事に就き、二匹の関係は自然と消滅していった。
二匹が再び巡り合ったのは、数年後のこと。バー『ニャンダルシア』で、ルシアはカウンターの内側でグラスを磨く、懐かしきかつての恋人を見た。
「あなた……アーロン? あなたなの?」
「……確かに、俺はアーロンですがね。お嬢さん。きっとねこ違いさ」
アーロンは駆け寄るルシアを突っぱねた。その時の彼女の落胆と憤慨が入り交じったような表情を、今でも覚えている。
ルシアは夢破れ、ステージを求めて夜の街をさまよっていた。そう、彼女がアリサ・マジキナとルームシェアをしていた頃合いだ。
アーロンはいつしか、この街の夜を牛耳るマフィアのボス、エディ・ウォッシュバーンが抱える殺し屋の一匹となっていた。地元のバーで演じたちょっとした喧嘩のさなか、彼の幹部の目に止まったことがきっかけだった。表向きはバーテンダーとしてシェイカーを振りながら、アーロンはウォッシュバーンのビジネス上の障害となる者を次々に葬っていった。彼の前足は既に、無数のねこたちの血に染まっていたのだ。純粋だった過去の恋人を近づけるわけにはいかなかった。
彼女の歌を気に入ったウォッシュバーンの求めに応え、ルシアがニャンダルシアのステージへ立ち始めたのは、他ならぬアーロンの存在が大きかったことだろう。その頃にはもう、彼女の夢は曖昧になり始めていたのかもしれない。
ルシアは再び、アーロンに惹かれ始めていた。アーロンはそれに答えることなく、あくまでねこ違いを装い続けた。彼女を己の手で汚すつもりはなかった。彼女には希少ながらも友人がいたし、自分の手は離れたものと思い込んだ。思い込もうとした。
ウォッシュバーンが彼女へもうひとつの仕事を与えたことも、結局のところそれがきっかけだったのだろう。その頃にはルシアは押しも押されもせぬニャンダルシアの歌姫として君臨し、客足の遠のいたバーの経営が行き詰まることがなかったのは、彼女に金払いの良い上客が幾匹もついていたからに他ならない。ウォッシュバーンはそんな客たちを自らのビジネスへ引きずり込むべく、法外な報酬を与えてルシアをその窓口へと仕立て上げたのだ。
つまり、違法なマタタビ粉の取引だ。ルシアは歌声を響かせ客を引き寄せ、マタタビ粉を売りさばき、ウォッシュバーン・ファミリーは潤う。当然、ルシア自身にも見返りは大きかった。何かから逃げるように、ルシアの言動は派手に、辛辣になっていった。
だが、何事にも潮時というものがある。ルシアはやりすぎたのだ。ただでさえ人目を惹きつける彼女とウォッシュバーンとの繋がりはやがて公然のものとなっていき、そしてマフィアが金と暴力で警察の上層部を抱き込んでおくことにも限界はあった。何より彼女は商品の何割かを着服し、ごく私的に横流ししていた。
皮肉なものだ。あの夜。ニャンダルシアの裏手で休憩中の歌姫へ、ウォッシュバーンが送り込んだ始末人は、他ならぬバーテンダー兼殺し屋であったのだ。
「そうしてお前さんは、ルシア・マーロンを殺害した。かつては親しかった間柄だ、その瞬間まで彼女はお前さんを警戒してもいなかっただろう。逃げたり抗う痕跡の一つも見当たらなかったのは、お前さんを信頼していたからだろう」
アーロン・スミスはビリーの言葉には答えず、ただ腕にはまった時計を見つめていた。死んだルシアから届けられたそれを。彼の誕生日である今日の日に、受け渡し場所まで指定して。
「事件当夜、現場から立ち去った猫影は? 歌姫の同僚、ニャンダルシアの歌い手の一匹だったと見ているがね」
アーロンはかぶりを振り、大きく息を吐く。ビリーは言った。
「お前さん、ルシアとマタタビ粉の関係を、世間に隠そうとしたんじゃないのかい。同僚に金を払って、ルシアがさばくはずだったブツを隠させた。違うかい」
「ああ……」
ビリーは口にしなかったものの、これには間もなく裏が取れることになっていた。ローザ・ガーディアンが今頃、件の歌い手の家へ踏み込んでいるはずだ。
アーロンが拳銃を手にビリーやマドゥカ・ニャリィアスを襲撃したのも、半分はボスからの避けられぬ指令でありながら、ルシアの秘密をいたずらに暴かれまいとしてのことだったのかもしれない。
「なるほど、アーロンさん……その時のやりとりを、たまたまコサカエさんに見られていたんですね。そして脅されていた」
アヤカが手帳を忙しくめくりながら言う。隣ではケイが、彼女に自信を与えるかのように肩へ前足を乗せている。
ココロ・コサカエの脅迫は、彼を大いに追い詰めたことだろう。拒否すれば、彼自身の犯行のみならずルシアと彼の関係、彼女のビジネスまでも明るみになってしまう。ましてアーロンは手練れの殺し屋だ。ココロのたどった運命は、当然の帰結であったのだろう。
「コサカエさんは私に連絡を送り、あなたとルシアさんについての情報を売ろうとしていました。アーロンさん、あなたの首の後ろには、コサカエさんが戯れにつけた爪傷がありますね? それが犯猫の証です」
もはや拒むそぶりもない。綾花の求めに、アーロンはくるりと後ろを向いて首を見せた。黒と灰の縞柄には、くっきりと四本の爪痕が残されていた。
だがアヤカには一つ、晴れぬ疑問があった。それにはどうしても、確信が持てずにいた。
「アーロンさん……聞かせてくれませんか」
「これ以上に語ることなんてないさ。一体何を言えと?」
「あなたは本当に、ルシアさんを撃ったんですか?」
ざ、と靴音がして、一同が振り返る。そこにはローザ・ガーディアンが立っていた。ビリーへ頷いてみせたのは、ルシアの同僚への裏付けが正しかったことの証だろう。
ローザは、アーロンが二の句を継ぐのを待った。自身の口から語るべきだと促すように、彼を見つめる。
「俺は……撃ってない」
彼の声は震えていた。
「撃てなかったんだ……」
ルシアの胸に突きつけられた銃口はやがて、小刻みに震えながら地へ下ろされた。
「バカな……バカなメスねこだよ。こんな俺を、まだお前は……」
ルシアはとうに知っていたことだろう。バーテンダーを隠れ蓑に、彼が裏でどんな行いを生業としていたのか。なぜ彼が自分の元に送り込まれたか。
ここで自分を撃たねば、彼が雇い主からどんな裁定を下されるかも、彼女には想像に難くなかったに違いない。
「ウォッシュバーンから、俺の身柄を買い上げようだなんて。俺に自由を、だなんて……ヤツの吹っ掛けた法外な額面を鵜呑みに? バカな。俺にそんな価値があるものか! ルシア、お前は本当に……!」
「相変わらずね、アーロン。あたしがいないと、何にもできないんだから」
彼女は手練れなはずのアーロンから軽々と拳銃を奪うと、言ったのだ。
「丘の上の展望台。郊外のさ、知ってる? いいとこでね、あたしのお気に入り。いつか、あんたと行きたかったの。一月後の満月の夜に、そこへ来て。必ずね」
そう言い残し、ルシアは自らの胸を撃ち抜いた。華やかな微笑みを浮かべながら。
「ココロ・コサカエ及び……マドゥカ・ニャリィアス殺害の容疑で、あなたを逮捕します。彼女は良い警官になるはずだったのですがね」
彼は抵抗することもなく、ローザの掲げた手錠へ自ら手首を差し出した。
「罪は償ってもらいますよ。薬漬けの廃猫にされることもなく、獄中で密かに亡き者にされることもなく、きっちりとね……」
うなずいた彼の頬を伝う涙は、本物であったことだろう。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年06月03日
参加申し込みの期限
2018年06月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年06月10日 11時00分
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