この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！｜リアクション

この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！

◆翌日早朝：フィットネスクラブ

　新田は昨晩食べた分を消費すべく、フィットネスクラブを利用していた。
「ネットでは、ボルダリングに挑戦できるとあったんだが……」
　インストラクターに尋ねて案内されると、反り返るように立ちはだかるボルダリング用の壁。
「ほう、これがボルダリングの壁か。実際に見るのは初めてだが、挑戦してみるか……」
　普段から新田はトレーニングを欠かさない。
　ゆえに、筋力とスタミナは自身がある。
　だがボルダリングは何も考えずに突き進むと痛い目を見る。
　すぐに途中で手足が届かなくなってしまう。
「なっ……？　単純にまっすぐ登ればいいわけじゃないのか？」
　ボルダリングは『昇るルート』の選択が重要だ。
　如何にスタミナ消費を抑えて最速で登れるか？
　論理的思考も必要なスポーツである。
「なるほどな。ボルダリングはちゃんと頭を使わないといけないのか」
　バランス感覚もモノを言う。
　無理な体勢で登れば、スタミナを浪費してしまう。
　新田はインストラクターの助言を借りつつ、着実に壁を登り始めた。

　30分後。
　新田は壁の頂上に到達した。
「室内だからあまり高くないけど、実際に登りきると達成感あるな。見下ろすだけでも、景色はさっきまでの物と違って見える」
　インストラクターからは初心者とは思えないと絶賛された新田。
　素直に賛辞を受け取りつつ、地上に降りた彼は呟いた。
「高い壁の上に懸命に上る達成感を味わいたい。そこからの景色を堪能したい。そういう楽しみもボルダリングの醍醐味なのかもしれないな」
　新田はこのあと、チェックアウトまでプールで優雅に過ごそうと考えている。
　南国気分でジュースを飲みながら、デッキチェアに寝そべって空を見上げてみよう。
　たまには羽をゆっくり伸ばすのも悪くないだろう。

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