この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！｜リアクション

この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！

◆祝勝会・３

「あ、まどかさん、刀さん！　それに猪チームの皆さんも！　やっぱり、いらしてたのですね？」
　北条がセクシーなオフショルダードレスを着てレストランにやってきた。
　背中が大きく開いたドレスに、御剣が早速反応した。
「おまっ……！　凄い格好だな！？　よからぬ輩に襲われるぞ！？」
「むしろ、刀君が襲いそうだけど？　大丈夫？　クルミ割る？」
　ジト目で睨む桜庭。
　彼女の手には、いつの間にか禍々しいお面が！
　御剣は顔を真っ赤にして反論。
「ば、馬鹿言え、桜庭！　俺にはあの２人がいるし！　あっ」
　自らの失言を察した御剣は、引きつった笑顔で回れ右。
「サーテ、腹ガ減ッタカラ、肉ヲ食オウカナ～？」
　女性陣はムッツリストの背を見送ったあと、一緒に食事を摂る事になった。
「2年9組の北条冬華です。よろしくお願いしますね。猪チームの皆さん、優勝おめでとうございます」
　当日はレースを観戦していなかった北条だが、御剣の話から色々と後追いで調べたようだ。
「北条さんは先輩方のお友達なのですね。１年の南雲秋月と申します」
　烏龍茶で再び乾杯をした南雲が北条に会釈をした。
「北条先輩、なにか料理を持ってきましょうか？」
「でしたら、パエリアを食べてみましょうか。普段、なかなか家庭で作りませんし、食べる機会も少ないですからね」
「わかりました！」
　気配りの南雲、進んで先輩たちの料理を配膳する係になっていた。
「そういえば、冬華ちゃん！　ユーは何しにここへ？」
　桜庭の質問に、日課のトレーニングでここに来たことを告げる。
「へぇ、ここのホテル通いが日課……！　やっぱり、リアルセレブは違う……！」
　話を聞いていた水上が震えあがる。
「そんなことないですよ。皆さんだって宿泊されるんでしょう？」
「私たちは、優勝特典でスイートルームを無料で宿泊できるんだよ！　どーだー羨ましいだろー！」
　白が胸を張る。たゆんっ。
「それはまた、すごいですね！」
　北条が笑う。たゆゆんっ！
　これに水上は舌打ちした。チィッ！
「そっかぁ、トレーニングして来たのかー！　つまりプロテインタイムってことだね！　すみませーん！　この子にプロテインを一杯！」
「どうしてそうなる、桜庭……。ああ、でも可能ならば俺の分も頼む」
　新田も突っ込みながらボケるという高等技術を披露した。
「えっ、プロテインないの？　じゃあ、良質な赤身肉をちょうだい！　タンパク質をじゃんじゃんおくれよ！」
「ちょっと、まどかさん！？」
　サイダーを煽りながらウェイターに無茶振りする桜庭。
　流石にこれをなだめに入る北条。
　だが内心では「運動したけど、カロリーが……」と乙女な悩みで注文を彼女は躊躇っていた。
「俺も赤身肉がちょうど食べたかったんだ。ウェイターさん、悪いけど、少し融通を利かせてくれると助かります」
　新田が頭を下げると、ウェイターは笑顔で承諾。
　なんと、目の前にシュラスコが登場したではないか！
「こんなサービスがあったのですね……」
　通い慣れた北条も、これには驚きを隠せない。
　切り分けられてゆく肉に、大興奮の高校生たち。
「ところで、真白ちゃんと、冬華ちゃん、栄養が全部胸に行きそう。２人で縄跳びすると凄そうだよね？」
　ゲフォ！？
　桜庭の発言に男性陣は思わずむせた。
「うーん、もっと身長へ栄養が回ってほしいなぁって私も思う。縄跳びはやると胸が跳ねて大変なんだよね」
「縄跳びは胸が暴れるので……。白さんの意見と同じです。身長は、私はノーコメントで……」
　男性陣は無心で料理を食べながら、この会話が終わる事を願っていた。
　特に御剣は性欲を食欲に昇華させるために、一心不乱に肉を頬張っていた。
　コワイ。
　そこへ、南雲が嬉々としながら戻ってきた。
「みなさん！　チーズ５倍ピザですって！　10種のチーズの海がピザ生地に溢れてますよ！」
　南雲が持ってきたそれは、チーズ以外に具材が乗っていない、正真正銘のチーズピザだった。
　しかも、チーズの量がなんかおかしい。
　切り分けてみれば、チーズの層が生地より分厚い上にチーズが皿に流れ出す。
「チーズだけのピザでチーズ５倍盛りとかいかれてるゥ！　じゃぁみんなでこれ、食べようよ！」
　桜庭をはじめとする面々が、このチーズピザに挑む。
「あ、これ美味しいですね。んー、でも１切れでいいかなぁ？」
「ボクも、胸やけが……！　あ、もういいです」
　結果、完食こそしたものの、全員が胸やけに苦しみ、祝勝会はそこでお開きとなってしまった。

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