この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！｜リアクション

この素晴らしいステッラ・デッラ・コリーナで週末を！

◆祝勝会・１

「それじゃ、優勝を祝って乾杯しよっか」
　白真白が豆乳の入ったグラスを持って音頭を取れば、猪チームの面々も一斉にグラスを掲げる。
「「かんぱーい！」」
　夜19時。
　寝子島シップ選手権こと三人四脚駅伝の総合優勝を果たした猪チーム。
　新田亮は早速、高級食材を求めて席を立つ。
「北京ダックとかツバメの巣を味わってみたいな。庶民には中々手が出ないし」
「おっ、新田も高級食材狙いか？」
　声を掛けられた新田が振り返ると、そこには凄みを感じる御剣刀がいた。
「御剣か。どうした？　何か思い詰めているようだが？」
「し、心配は無用だ、新田。俺は今、己の性欲を食欲に変換しなければならないだけだ！」
「ん、性欲？？」
　この場にそぐわない御剣の発言に、新田は思わず首を傾げてしまう。
　御剣は強い剣幕で新田ににじり寄り始める。
　そして小声で言った。
「俺の事はいいから！　決して俺はおっぱいのことなど考えていない！　いいね？」
「……そうか」
　新田は御剣をそっとしておくことにした。
「うおおおおっ！　俺は今、猛烈に腹が減っている！　俺の腹を満たす食材はどれだ！？」
　この好機を逃すわけにはいかないとばかりに、片っ端から高級食材を更に乗せ始める御剣。
　対して、新田は当初の目的通り、北京ダックとツバメの巣のスープを獲得。
「御剣先輩、はしゃいでますね？」
　苦笑するのは、水上桜。
　新田と入れ違いで席を立ち、これから料理を選びに行くところだ。
「御剣先輩、迷いがないですよね。私なんて、トリュフソースのかかったステーキだとか、季節の魚を用いた料理とか、懐石料理にローストビーフに北京ダックにインド料理にその他諸々で、本当に目移りしちゃう……！」
　うっとりとしている水上。
　今宵は目いっぱいにおめかしした余所行きの服で祝勝会に参加中だ。
「あ、それ、ツバメの巣のスープ！　新田先輩は、中華がお好きなんですか？」
「ん？　ああ、これは前から食べてみたかっただけだ。あと御剣は今、そっとしておいてやれ」
「へ？？？　あ、はぁ……」
　頭上に？マークを浮かべる水上は、バーサークイーターと化す御剣と淡々と北京ダックを味わう新田を交互に見て眉をひそめるのであった。

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