本日は失敗日和につき｜リアクション

本日は失敗日和につき

　――どっかーん！！
　気付けば、トワ・E・ライトフェロゥは、跳び箱にダイレクトアタックしていた。
　助走はバッチリだったので、その体当たりの威力たるや中々のもの。
　ころころころりと転がったトワの傍に、先生が血相を変えて駆け寄ってくる。
「大丈夫！？」
「Failure！　シッパイーしたのデス！」
「痛いところは？　怪我はない？」
「No problem！　ぜんぜんー、へいきー、なのデス！」
　ぴょこんっ！　と、トワは元気いっぱいに立ち上がった。
　本人の言葉通り、ほぼ無傷。
　常から迷子で鍛えている（？）からかもしれないし、運が良かったのかもしれない。
　ともあれこれは、寝子小での、体育の時間の出来事である。
　７段の跳び箱を見て、トワは腕を組み、ちょっと難しい顔を作った。
「ヌヌヌー。コレ以外の色々を含めるとー、此処まででホンジツ、７回目の失敗なのデス！」
　なお、その回数に登校中に迷子になったことは含まれていない。あしからず。
「普段から失敗ばかりしてるのではなくー、いつもより多いのは間違いないのデス」
　に、２、３回くらい、と眼差しを泳がせて付け足すトワ。
　先生が、不安全開の顔をして、トワに声をかける。
「ねえ、頑張るのは立派だけど、無理はしなくていいのよ……？」
「No worries！　偉い人はいうマシタ！　諦めなければ試合終了なのデス！」
　逆である。その理屈だと試合は終わってしまっている。が、しかし！
「Never give up！　Clear できるようになるマス！」
　と、言い回しの間違いなんて気にも留めず、トワは、青の瞳に気合を燃やす。
　そして、定位置に戻り、７段の跳び箱をしかと見据えた。
「トワ選手、トビバコー７段、３回目のチャレンジでクリアなるかー、４回目に突入してしまうノカー」
　突撃するマス！　と、いざ、出撃！　そして――、
　――どっかーん！！
　ころころころりと、トワはまた、昔話のおむすびみたいに転がった。
　そして再び、ぴょこりんと、堪えた様子もなく立ち上がる。
「ムムム……これはー、原因を考えなくてはー、駄目なのデハ？」
　考え込むトワに、先生が優しくアドバイス。
　それを受け止めて、トワの双眸は、ぴかっ！　と、宝石のように煌めいた。
「Amazing！　軸足で飛ぶ事にコダワラズ、両足でジャンプすれば良いのデス？」
「そう。わかるかな？」
「バッチシなのデス！　Once again、チャレンジするマス！」
　６回目のチャレンジでクリアする方にかけるのデス！　との元気満タンの宣言に、
「えっと……コレ、そういう趣旨じゃないかな……？」
　と、先生の、控えめなツッコミが入る。それを受けて、
「トーワーもー、そう思うマス！」
　えっへん！　とばかりに、トワは大きく胸を張った。

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